[P1-B-0359] 学生の集中力を高める講義の要件とは
眠らせない講義
Keywords:講義, 睡眠, 集中力
【はじめに,目的】
質の高い授業を展開するためには,学生の集中力を高め,教授内容の理解度を上げる必要がある。本研究は,学生に集中力をもたせ質の高い授業展開を図るための知見を得ることを目的に実施した。
【方法】
対象は本学理学療法学科に在籍する,男150名,女78名,合計228名である。基本情報,睡眠調査,授業中の眠気調査から構成される,オリジナルで46の設問からなる質問紙を作成した。平成25年11月に学年毎に一斉に実施した。
基本調査は,学年,年齢,性別,アルバイト(1週間の日数,1週間の時間数)の6項目である。睡眠調査は,就寝時間,起床時間,睡眠時間,睡眠満足度(7段階),寝つきの悪さ,深夜覚醒の6項目である。授業中の眠気調査は34項目である。授業中に眠気をもたらす原因として,全く関係ない(1)から強く関係する(7)までの7件法で回答を求めた。その項目は,寝不足,身体的疲労,精神的疲労,体調,授業の理解度,落ち込んでいる,集中力,やる気,授業内容,苦手な先生,座席の位置,指定席,自由席,意中の人が近くにいる,隣席との距離感,教室の明るさ,室温・湿度,季節,朝食後の授業,昼食後の授業,教室の雰囲気,受講生数,よく話す人が近くにいる,レジメの有無,話を聞くだけの授業,授業のペース,パワーポイントの授業,ペンを動かさない授業,先生の話し方,先生の威圧感,授業態度に厳しい教師,授業への緊張感,小テストの有無,期末試験の難易度である。
すべての項目に基本統計,2項目間の相関,眠気調査34項目の因子分析を実施した。因子の抽出方法は,最尤法プロマックス回転,固有値1.0,因子負荷量0.4以上とした。すべての統計学的有意水準を5%,統計ソフトはIBM SPSS 19を使用した。
【結果】
1)眠気調査の基本統計
影響が強い項目順に示す(平均値5.0以上,平均値±1標準偏差)。寝不足6.1±1.3,身体的疲労5.9±1.3,昼食後の授業5.7±1.3,話しを聞くだけの授業5.7±1.3,室温・湿度5.5±1.5,精神的疲労5.4±1.6,やる気5.3±1.5,先生の話し方5.3±1.5,集中力5.3±1.5,授業の内容5.1±1.6,授業への緊張感5.1±1.5,授業態度に厳しい5.1±1.6,教室の雰囲気5.0±1.7,パワーポイントの授業5.0±1.6であった。
2)寝不足,平均睡眠時間,身体的疲労,精神的疲労の間には有意な関係が見られた。(Pearsonの相関係数:r=0.20-0.58,p<0.01)。また,アルバイト時間と平均睡眠時間,身体的疲労,寝不足の項目間にも弱い相関が見られた(Pearsonの相関係数:r=0.14-0.20,p<0.05)。
3)眠気調査の因子分析
5因子が抽出され,抽出後の負荷量平方和の累積は46.4%であった。第1因子の負荷量平方和は28.2%であった。第1因子に含まれる項目は,授業態度に厳しい教師,授業への緊張感,先生の威圧感,ペンを動かさない授業,期末試験の難易度,小テストの有無,先生の話し方,よく話す人が近くにいる,授業のペース,話を聞くだけの授業,パワーポイントの授業,であった。第2因子以降の抽出後の負荷量平方和は5.6-3.5%と低い値であった。第4因子は,精神的疲労,身体的疲労,寝不足,体調の4因子が抽出された。
【考察】
基本統計量による結果と因子分析の結果のそれぞれの項目の位置づけに大きな相違が見られた。学生は,寝不足,身体的疲労,精神的疲労などの健康面と昼食後の授業や室温・湿度などが眠くなる大きな要因と考えている。基本統計量による結果は,学生が考える眠気をもたらす要因,つまり主観的要因を示している。これには睡眠時間の短さが影響している。
因子分析の第1因子は能動的・緊張感が求められる授業,第2因子は教室の環境,第3因子は座席の位置,第4因子は学生の健康,第5因子は学生の積極的授業参加と解釈した。抽出後の負荷量平方和の値から第1因子に含まれる項目が主に影響を及ぼす要因であり,その項目から判断すると,因子分析による結果は眠気をもたらす客観的要因であると推察した。
したがって,学生は鉛筆を動かし,教員は学術的内容を充実させ,緊張感をもって授業を実施し,双方向コミュニケーションを積極的に取り入れた授業展開が重要であることを再認識した。
【理学療法学研究としての意義】
質の高い授業展開の方策を授業中に生じる眠気の視点から考察した。
質の高い授業を展開するためには,学生の集中力を高め,教授内容の理解度を上げる必要がある。本研究は,学生に集中力をもたせ質の高い授業展開を図るための知見を得ることを目的に実施した。
【方法】
対象は本学理学療法学科に在籍する,男150名,女78名,合計228名である。基本情報,睡眠調査,授業中の眠気調査から構成される,オリジナルで46の設問からなる質問紙を作成した。平成25年11月に学年毎に一斉に実施した。
基本調査は,学年,年齢,性別,アルバイト(1週間の日数,1週間の時間数)の6項目である。睡眠調査は,就寝時間,起床時間,睡眠時間,睡眠満足度(7段階),寝つきの悪さ,深夜覚醒の6項目である。授業中の眠気調査は34項目である。授業中に眠気をもたらす原因として,全く関係ない(1)から強く関係する(7)までの7件法で回答を求めた。その項目は,寝不足,身体的疲労,精神的疲労,体調,授業の理解度,落ち込んでいる,集中力,やる気,授業内容,苦手な先生,座席の位置,指定席,自由席,意中の人が近くにいる,隣席との距離感,教室の明るさ,室温・湿度,季節,朝食後の授業,昼食後の授業,教室の雰囲気,受講生数,よく話す人が近くにいる,レジメの有無,話を聞くだけの授業,授業のペース,パワーポイントの授業,ペンを動かさない授業,先生の話し方,先生の威圧感,授業態度に厳しい教師,授業への緊張感,小テストの有無,期末試験の難易度である。
すべての項目に基本統計,2項目間の相関,眠気調査34項目の因子分析を実施した。因子の抽出方法は,最尤法プロマックス回転,固有値1.0,因子負荷量0.4以上とした。すべての統計学的有意水準を5%,統計ソフトはIBM SPSS 19を使用した。
【結果】
1)眠気調査の基本統計
影響が強い項目順に示す(平均値5.0以上,平均値±1標準偏差)。寝不足6.1±1.3,身体的疲労5.9±1.3,昼食後の授業5.7±1.3,話しを聞くだけの授業5.7±1.3,室温・湿度5.5±1.5,精神的疲労5.4±1.6,やる気5.3±1.5,先生の話し方5.3±1.5,集中力5.3±1.5,授業の内容5.1±1.6,授業への緊張感5.1±1.5,授業態度に厳しい5.1±1.6,教室の雰囲気5.0±1.7,パワーポイントの授業5.0±1.6であった。
2)寝不足,平均睡眠時間,身体的疲労,精神的疲労の間には有意な関係が見られた。(Pearsonの相関係数:r=0.20-0.58,p<0.01)。また,アルバイト時間と平均睡眠時間,身体的疲労,寝不足の項目間にも弱い相関が見られた(Pearsonの相関係数:r=0.14-0.20,p<0.05)。
3)眠気調査の因子分析
5因子が抽出され,抽出後の負荷量平方和の累積は46.4%であった。第1因子の負荷量平方和は28.2%であった。第1因子に含まれる項目は,授業態度に厳しい教師,授業への緊張感,先生の威圧感,ペンを動かさない授業,期末試験の難易度,小テストの有無,先生の話し方,よく話す人が近くにいる,授業のペース,話を聞くだけの授業,パワーポイントの授業,であった。第2因子以降の抽出後の負荷量平方和は5.6-3.5%と低い値であった。第4因子は,精神的疲労,身体的疲労,寝不足,体調の4因子が抽出された。
【考察】
基本統計量による結果と因子分析の結果のそれぞれの項目の位置づけに大きな相違が見られた。学生は,寝不足,身体的疲労,精神的疲労などの健康面と昼食後の授業や室温・湿度などが眠くなる大きな要因と考えている。基本統計量による結果は,学生が考える眠気をもたらす要因,つまり主観的要因を示している。これには睡眠時間の短さが影響している。
因子分析の第1因子は能動的・緊張感が求められる授業,第2因子は教室の環境,第3因子は座席の位置,第4因子は学生の健康,第5因子は学生の積極的授業参加と解釈した。抽出後の負荷量平方和の値から第1因子に含まれる項目が主に影響を及ぼす要因であり,その項目から判断すると,因子分析による結果は眠気をもたらす客観的要因であると推察した。
したがって,学生は鉛筆を動かし,教員は学術的内容を充実させ,緊張感をもって授業を実施し,双方向コミュニケーションを積極的に取り入れた授業展開が重要であることを再認識した。
【理学療法学研究としての意義】
質の高い授業展開の方策を授業中に生じる眠気の視点から考察した。