[P1-C-0034] 小脳出血により長期重度の意識障害と四肢麻痺を呈した一症例
Keywords:小脳出血, 四肢麻痺, CT画像
【目的】小脳出血により長期に重度の意識障害と四肢麻痺を呈した症例に対して理学療法を実施した結果,著しい回復を得たので,その経過を報告する。
【症例提示】16歳男性。小脳出血を発症し,開頭血腫除去術を施行。66病日に当院入院。入院時CT画像で,小脳虫部,右小脳半球,両側深部小脳核,左下小脳脚,左中小脳脚,左前庭核を含む広範囲に低吸収域を認めた。大脳に病変を認めなかった。初期評価は,Glasgow Coma Scale(以下GCS)E1,V1,M1。四肢・体幹とも弛緩性で,随意運動は全くみられなかった。
【経過と考察】発症から66日経過しているにも関わらず,重度な症状を残したままであることから予後は不良と思われた。しかし,大脳に損傷を認めず,出血性病変であることから,小脳系の各回路の線維連絡は僅かながらでも残存していると考えた。残存している神経連絡を用い,自分の意思によって行動ができることを目指し,まずは感覚刺激によって脳幹網様体を賦活し,覚醒の改善を図った。徐々に覚醒レベルが向上し,随意運動が僅かに可能となった入院3ヶ月目以降は,装具を使用しない歩行,膝立ちにより随意運動の強化を図った。6ヶ月目にはじゃんけん,洋式トイレで排尿ができるようになり,気管カニューレを抜去することができた。Scale for the assessment and rating of ataxia(以下SARA)は歩行8,立位6,座位4。8ヶ月目には上下肢とも随意性が向上し,企図振戦はあるものの,エレベーターのボタンを押す,車椅子足駆動により自室へ戻ることが可能となった。さらに立位姿勢制御が可能となるよう,壁もたれの横歩きや平行棒内・歩行器歩行を行った。10ヶ月経過時GCSはE4,V1,M5。SARAは歩行6,立位5,座位4。歩行器を使用し,エレベーターを操作して自室へ戻ることができるようになり,11ヶ月目に自宅退院に至った。
本症例を通じて状態だけではなく,脳画像からも予後,治療方針を考える重要性を学ぶことができた。
【症例提示】16歳男性。小脳出血を発症し,開頭血腫除去術を施行。66病日に当院入院。入院時CT画像で,小脳虫部,右小脳半球,両側深部小脳核,左下小脳脚,左中小脳脚,左前庭核を含む広範囲に低吸収域を認めた。大脳に病変を認めなかった。初期評価は,Glasgow Coma Scale(以下GCS)E1,V1,M1。四肢・体幹とも弛緩性で,随意運動は全くみられなかった。
【経過と考察】発症から66日経過しているにも関わらず,重度な症状を残したままであることから予後は不良と思われた。しかし,大脳に損傷を認めず,出血性病変であることから,小脳系の各回路の線維連絡は僅かながらでも残存していると考えた。残存している神経連絡を用い,自分の意思によって行動ができることを目指し,まずは感覚刺激によって脳幹網様体を賦活し,覚醒の改善を図った。徐々に覚醒レベルが向上し,随意運動が僅かに可能となった入院3ヶ月目以降は,装具を使用しない歩行,膝立ちにより随意運動の強化を図った。6ヶ月目にはじゃんけん,洋式トイレで排尿ができるようになり,気管カニューレを抜去することができた。Scale for the assessment and rating of ataxia(以下SARA)は歩行8,立位6,座位4。8ヶ月目には上下肢とも随意性が向上し,企図振戦はあるものの,エレベーターのボタンを押す,車椅子足駆動により自室へ戻ることが可能となった。さらに立位姿勢制御が可能となるよう,壁もたれの横歩きや平行棒内・歩行器歩行を行った。10ヶ月経過時GCSはE4,V1,M5。SARAは歩行6,立位5,座位4。歩行器を使用し,エレベーターを操作して自室へ戻ることができるようになり,11ヶ月目に自宅退院に至った。
本症例を通じて状態だけではなく,脳画像からも予後,治療方針を考える重要性を学ぶことができた。