[P1-C-0056] 視覚-体性感覚情報の統合を目的とした認知運動課題によりすくみ足・小刻み歩行に改善がみられた2症例
Keywords:すくみ足, 認知運動療法, 運動学習
【目的】
すくみ足・小刻み歩行はパーキンソン病(PD)のほか様々な疾患で観察され,大脳基底核の機能低下による内発的な運動の障害が誘因のひとつとされている。これらの歩行障害に対する介入方法として,視覚や聴覚といった外部刺激を利用した介入などが推奨されている。今回は,視覚と体性感覚情報の統合を基盤に,内発的な運動を促すことを目的とした認知運動課題をPD及び脳血管性パーキンソニズムにより歩行障害を呈した2症例に対して実施した。その結果,歩行能力に改善がみられたので報告する。
【症例提示】
症例1は右頭頂葉を中心に多発性脳梗塞を呈した80歳代の男性である。発症前はPDとアルツハイマー病があり歩行自立レベルであった。症例2は脱水後廃用症候群によりリハビリ開始となった80歳代の男性である。既往として基底核を中心に多数の小梗塞が存在し,入院前よりすくみ足・小刻み歩行がみられていた。介入初期の運動機能として症例1は左側肢Br-stageVI,症例2は両側ともに上肢VI,下肢Vであった。歩行能力は症例1ではすくみ足・小刻み歩行により転倒傾向が強く10m歩行が困難で5m:20.0秒26歩15.0m/分であった。症例2は10m free hand歩行が45.6秒85歩13.2m/分で,すくみ足・小刻み歩行が著明であった。
【経過と考察】
2症例に対し,左右の身体・空間を比較しながら感覚情報を統合して運動へ繋げる課題を段階的に施行した。課題開始から約1カ月後の変化として,症例1は10m T杖歩行において26.8秒40歩22.4m/分となり,症例2は10m free hand歩行において24.2秒53歩24.8m/分と改善がみられた。感覚情報の処理は身体の認識や運動の改善に重要な因子とされており,感覚情報の統合とそれを基にした運動を促す認知運動課題により,2症例において身体能力の向上がみられた。すくみ足・小刻み歩行に対し,感覚情報の統合を促すことで内発的な運動の基盤を構築し,歩行障害が改善する可能性が示唆された。
すくみ足・小刻み歩行はパーキンソン病(PD)のほか様々な疾患で観察され,大脳基底核の機能低下による内発的な運動の障害が誘因のひとつとされている。これらの歩行障害に対する介入方法として,視覚や聴覚といった外部刺激を利用した介入などが推奨されている。今回は,視覚と体性感覚情報の統合を基盤に,内発的な運動を促すことを目的とした認知運動課題をPD及び脳血管性パーキンソニズムにより歩行障害を呈した2症例に対して実施した。その結果,歩行能力に改善がみられたので報告する。
【症例提示】
症例1は右頭頂葉を中心に多発性脳梗塞を呈した80歳代の男性である。発症前はPDとアルツハイマー病があり歩行自立レベルであった。症例2は脱水後廃用症候群によりリハビリ開始となった80歳代の男性である。既往として基底核を中心に多数の小梗塞が存在し,入院前よりすくみ足・小刻み歩行がみられていた。介入初期の運動機能として症例1は左側肢Br-stageVI,症例2は両側ともに上肢VI,下肢Vであった。歩行能力は症例1ではすくみ足・小刻み歩行により転倒傾向が強く10m歩行が困難で5m:20.0秒26歩15.0m/分であった。症例2は10m free hand歩行が45.6秒85歩13.2m/分で,すくみ足・小刻み歩行が著明であった。
【経過と考察】
2症例に対し,左右の身体・空間を比較しながら感覚情報を統合して運動へ繋げる課題を段階的に施行した。課題開始から約1カ月後の変化として,症例1は10m T杖歩行において26.8秒40歩22.4m/分となり,症例2は10m free hand歩行において24.2秒53歩24.8m/分と改善がみられた。感覚情報の処理は身体の認識や運動の改善に重要な因子とされており,感覚情報の統合とそれを基にした運動を促す認知運動課題により,2症例において身体能力の向上がみられた。すくみ足・小刻み歩行に対し,感覚情報の統合を促すことで内発的な運動の基盤を構築し,歩行障害が改善する可能性が示唆された。