第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター5

神経/脊髄損傷・その他

Fri. Jun 5, 2015 4:10 PM - 5:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P1-C-0066] 咽頭・頸部・上腕型ギランバレー症候群のリハビリテーションアプローチの経験

早矢仕充寿1, 渡邉育美1, 桂川智宏1, 可児亜紗子1, 岸本泰樹1, 田島嘉人2, 和座雅浩3 (1.各務原リハビリテーション病院リハビリテーション科, 2.平成医療短期大学, 3.各務原リハビリテーション病院神経内科)

Keywords:ギランバレー症候群, 摂食嚥下障害, 喉頭挙上不全

【目的】ギランバレー症候群(GBS)は下肢から急激に進行する全身の筋力低下を来す疾患であるが,その亜型である咽頭・頸部・上腕型ギランバレー症候群(PCB)は稀とされている。今回,摂食嚥下障害を初発症状とし,重度の球麻痺が残存したPCBのリハビリテーション(以下リハ)を経験したのでここに報告する。
【症例提示】30歳代男性 診断名:PCB 現病歴:発症7日前に胃腸炎の前駆症状あり。初発症状は構音障害と嚥下障害,翌日には嚥下障害が悪化し経口摂取困難,四肢筋力低下も認め急性期病院へ入院となったが,呼吸筋麻痺が進行し人工呼吸管理,気管切開施行。IVIg+ステロイドパルス併用が合計3回施行され四肢筋力は改善しADLはほぼ自立したが,球麻痺が強く残存した為PEG造設し,72病日に当院へ転院となる。
【経過と考察】当院リハ開始時,MMT上肢3+体幹2下肢5,重度の嚥下障害(嚥下Gr2状況Lv2,喉頭挙上不全,食道入口部通過不全等)を認めた。理学療法では頸部上肢体幹筋および喉頭挙上筋群の改善を目標に,筋疲労に留意しながらshaker ex,頸部上肢体幹筋力増強ex等を施行したところ,徐々に頸部体幹の筋力増強を認め,VF上でも喉頭挙上性と食道入口部開大性が改善している事を確認した。88病日 ST直接訓練開始,99病日 気切抜去,103病日 経口摂取開始,116病日 3食経口摂取が可能となった。3食経口摂取時,MMT上肢4体幹5下肢5に改善し,嚥下Gr8状況Lv7となった。DemirらによればGBSにおけるリハは筋力の改善を目的とした理学療法のみでなく,個々の患者の状態に応じた多面的なケアが重要であると述べている。本症例においては理学療法としてshaker exや頸部体幹筋力増強exを積極的に施行したことが,嚥下機能回復に好影響をもたらしたと考察した。今回の症例を経験して,ST領域の知見を理学療法に取り入れて介入する重要性を改めて学ぶ事ができた。