第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター3

運動器理学療法

2015年6月5日(金) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示ホール)

[P1-C-0093] 大腿骨近位部骨折患者の術後早期の疼痛強度が自立歩行の獲得日数に及ぼす影響

平田直希1, 出口祐子1, 宮口和也1, 中園雅子1, 中川理恵1, 肥田光正2 (1.奈良友絋会病院リハビリテーション科, 2.大和大学保健医療学部総合リハビリテーション学科理学療法学専攻)

キーワード:大腿骨近位部骨折, 疼痛, 歩行

【目的】大腿骨近位部骨折を受傷し,手術療法を受けた患者の術後早期の疼痛強度が,自立歩行を獲得するまでの日数(以下,歩行獲得日数)に及ぼす影響を前向きに調査すること。
【方法】対象者は当院整形外科にて大腿骨近位部骨折と診断され,手術療法を受けた患者29名(男性7名,女性22名,平均年齢80.79±8.13歳)である。本研究の対象者の選択基準は,コミュニケーションが良好で,精神疾患がなく,受傷以前に歩行が自立していた者とした。評価項目は手術翌日から4日間の疼痛強度の合計値,歩行獲得日数,術後7日目の筋力,年齢とした。疼痛強度の評価にはGretchenらに準じた5ポイントスケールを使用した。歩行獲得日数は,手術日から院内杖歩行が自立した日までの日数とした。筋力は股関節外転と膝関節伸展の等尺性筋力を測定した。統計解析は対象者を歩行獲得日数の中央値で2群に分け,疼痛強度の合計値,筋力,年齢の項目を,Mann-WhitneyのU検定により比較した。その後,歩行獲得日数を従属変数,各測定結果を独立変数としたロジスティック回帰分析のステップワイズ法により,歩行獲得日数の関連因子について検討した。有意水準は5%未満とした。
【結果と考察】歩行獲得日数の中央値は23.0日であった。歩行獲得日数を中央値で2群に分類し,2群間で比較した結果,疼痛強度(p=0.002)と股関節外転筋力(p=0.002),膝関節伸展筋力(p=0.0001)において有意差を認めた。歩行獲得日数の関連因子は,ロジスティック回帰分析の結果から疼痛強度(p=0.043)と股関節外転筋力(p=0.035)が有意な項目として抽出された。本研究の結果は,術後早期の疼痛強度や股関節外転筋力が自立歩行を獲得する日数に影響を及ぼす可能性を明らかにしており,術後早期の疼痛コントロールの重要性が示唆された。