[P1-C-0173] 女子ジュニアゴルファーの障害およびコンディショニングの現状調査
ジュニアゴルファーとプロゴルファーの比較
キーワード:ゴルフ, ジュニア, 障害予防
【はじめに,目的】当院はスポーツクリニックであることに加え,ゴルフレッスンをおこなう施設やフィットネス施設を併設しているためゴルファーの患者が多くリハビリテーションにも携わる事が多い。普段の臨床において,技術練習を重視するあまり,障害予防のためのコンディショニングやトレーニング不足が原因と推測されるゴルファーの症例を多く経験する。特にジュニア選手においてはその傾向が強いく障害予防の必要性を感じていた。2014年9月に我々は女子プロゴルファーと女子ジュニアの選手が一緒にプレーする競技会にてメディカルブースを設置する機会を得た。そこで普段の臨床で問題と感じているジュニアゴルファーの障害予防やコンディショニングの現状,また障害発生状況などを把握し,今後の障害予防に役立てることを目的にアンケート調査をおこなった。
【方法】対象は第1回ジュニアチャリティーカップに参加した女子プロゴルファー(以下:プロ)20名,女子ジュニアゴルファー(女子中学生,以下:ジュニア)40名のうち,アンケートが回収できた女子プロ13名(平均年齢38.7±8.2歳),女子ジュニア14名(平均年齢13.2±1.1歳)とした。調査項目はゴルフ競技レベルや練習の状況,障害予防への取り組みや障害の状況,その対応など合計14項目であった。
【結果】打球練習以外の練習は,パフォーマンスアップを目的にプロの13人中11人84.6%,ジュニアの14人中10人71.4%がおこなっていた。障害予防のための取り組みはプロの13人中11人84.6%,ジュニアの14人中6人42.9%がおこなっていた。またその内容についてプロの上位3項目は「マッサージ」が11人中8人72.7%,「セルフストレッチ」が5人45.5%,「ウォーミングアップ」が4人36.4%であった。一方ジュニアは「ウォーミングアップ」「マッサージ」が6人中4人66.7%,「セルフトレーニング」が3人50%であった。障害予防のための取り組みの情報源についてプロは「コーチ」「病院など」が11人中6人54.5%と多く,ジュニアは「父兄から」が6人中5人83.3%と最も多かった。障害はプロの13人中10人76.9%,ジュニアの14人中5人35.7%がこれまでに練習を休む程度の障害を経験した事があった。障害発生部位はプロ,ジュニアともに腰背部が最も多く,発生率はプロで13人中5件38.5%,ジュニアで14人中2件14.3%であった。障害発生時の対応はプロが「整骨院での治療」が18件中10件55.6%,ジュニアが4件中4件100%であった。
【考察】ジュニアはプロよりも打球練習のみをおこなっている事が多く,パフォーマンスアップや障害予防に対するコンディショニングやトレーニングを実施していない傾向があった。また障害予防の内容はプロ,ジュニアともにマッサージが上位に来るなど正しい取り組みをおこなえているか疑問が残る結果となった。障害の内容は他の報告同様に腰背部が多い傾向にあり,他の年代の障害と同様に予防対策としては腰背部痛を優先する必要性が示唆された。障害への対応としては1995年の菅谷らのプロゴルフツアー選手を対象とした報告においても民間療法が中心でありスポーツ医科学サポートの必要性を訴えている。同時に障害が完全に治癒したものは少なく,その治療効果にも疑問を呈している。今回の我々の調査でも約20年前の現状と変わらず障害の対応に関しては民間療法が中心であること,また障害予防の取り組みも「父兄」による指導が多い傾向があった。調査をおこなった当日は普段から多くのゴルファーの治療に関わっている医師,理学療法士,アスレティックトレーナーでメディカルブースを構成し大会に参加した選手に対し傷害相談やコンディショニング指導をおこなった。その際も今ある痛みへの対応方法や,予防のために普段からしておくと良いことなどの質問を多く受けた。これらのことからジュニアの障害予防のためには,適切な知識を有した各分野の専門家が上記のような機会において障害予防やコンディショニングの重要性について選手達に伝える活動を積極的におこなっていくことが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】ジュニアゴルファーの障害発生状況や普段のセルフケアの状況を把握する事により障害予防や日頃の臨床の成果を向上させる情報として役立せることができると考えている。また理学療法士は障害の治療・予防の専門家として的確な指導ができるようになると考えている。
【方法】対象は第1回ジュニアチャリティーカップに参加した女子プロゴルファー(以下:プロ)20名,女子ジュニアゴルファー(女子中学生,以下:ジュニア)40名のうち,アンケートが回収できた女子プロ13名(平均年齢38.7±8.2歳),女子ジュニア14名(平均年齢13.2±1.1歳)とした。調査項目はゴルフ競技レベルや練習の状況,障害予防への取り組みや障害の状況,その対応など合計14項目であった。
【結果】打球練習以外の練習は,パフォーマンスアップを目的にプロの13人中11人84.6%,ジュニアの14人中10人71.4%がおこなっていた。障害予防のための取り組みはプロの13人中11人84.6%,ジュニアの14人中6人42.9%がおこなっていた。またその内容についてプロの上位3項目は「マッサージ」が11人中8人72.7%,「セルフストレッチ」が5人45.5%,「ウォーミングアップ」が4人36.4%であった。一方ジュニアは「ウォーミングアップ」「マッサージ」が6人中4人66.7%,「セルフトレーニング」が3人50%であった。障害予防のための取り組みの情報源についてプロは「コーチ」「病院など」が11人中6人54.5%と多く,ジュニアは「父兄から」が6人中5人83.3%と最も多かった。障害はプロの13人中10人76.9%,ジュニアの14人中5人35.7%がこれまでに練習を休む程度の障害を経験した事があった。障害発生部位はプロ,ジュニアともに腰背部が最も多く,発生率はプロで13人中5件38.5%,ジュニアで14人中2件14.3%であった。障害発生時の対応はプロが「整骨院での治療」が18件中10件55.6%,ジュニアが4件中4件100%であった。
【考察】ジュニアはプロよりも打球練習のみをおこなっている事が多く,パフォーマンスアップや障害予防に対するコンディショニングやトレーニングを実施していない傾向があった。また障害予防の内容はプロ,ジュニアともにマッサージが上位に来るなど正しい取り組みをおこなえているか疑問が残る結果となった。障害の内容は他の報告同様に腰背部が多い傾向にあり,他の年代の障害と同様に予防対策としては腰背部痛を優先する必要性が示唆された。障害への対応としては1995年の菅谷らのプロゴルフツアー選手を対象とした報告においても民間療法が中心でありスポーツ医科学サポートの必要性を訴えている。同時に障害が完全に治癒したものは少なく,その治療効果にも疑問を呈している。今回の我々の調査でも約20年前の現状と変わらず障害の対応に関しては民間療法が中心であること,また障害予防の取り組みも「父兄」による指導が多い傾向があった。調査をおこなった当日は普段から多くのゴルファーの治療に関わっている医師,理学療法士,アスレティックトレーナーでメディカルブースを構成し大会に参加した選手に対し傷害相談やコンディショニング指導をおこなった。その際も今ある痛みへの対応方法や,予防のために普段からしておくと良いことなどの質問を多く受けた。これらのことからジュニアの障害予防のためには,適切な知識を有した各分野の専門家が上記のような機会において障害予防やコンディショニングの重要性について選手達に伝える活動を積極的におこなっていくことが必要であると考える。
【理学療法学研究としての意義】ジュニアゴルファーの障害発生状況や普段のセルフケアの状況を把握する事により障害予防や日頃の臨床の成果を向上させる情報として役立せることができると考えている。また理学療法士は障害の治療・予防の専門家として的確な指導ができるようになると考えている。