[P1-C-0232] 歩行感覚提示装置を用いた歩行トレーニングの有用性の検討
~体重免荷トレッドミルトレーニングと比較して~
Keywords:歩行感覚提示装置, 体重免荷トレッドミルトレーニング, 脳卒中
【はじめに,目的】近年,LOKOMATやGait Trainer,Hybrid Assistive Limb®,歩行感覚提示装置(GaitMaster)などのロボット技術を用いたリハビリテーションが臨床導入され,介入効果等が多く報告なされている。我々は第49回日本理学療法学術大会において,維持期脳卒中患者に対するGaitMasterを用いた歩行トレーニング(GMT)の歩行速度,動的バランス,等尺性収縮筋力の改善効果を報告した。しかしながら,比較対照が歩行トレーニングではなかったため,GMTの有用性の検討は不十分である。そのため,本研究では,現在,臨床の指標である脳卒中治療ガイドラインにて推奨され,臨床で多く導入されている体重免荷トレッドミルトレーニング(BWSTT)とGMTを比較し,歩行感覚提示装置の有用性を検討することを目的とした。
【方法】方法はGMTとBWSTTにおける群間比較デザインとした。対象者は外来通院が可能で,GMTが実施可能な維持期脳卒中患者11名(男性8名,女性3名),平均年齢は59.4±10.8歳,発症からの期間は45.1±35.1か月であった。対象者はGMTとBWSTTの両方を実施し,実施する歩行トレーニングの間は少なくとも2か月以上あけるように設定した。研究プロトコルは,GMT,BWSTTともにベースライン期,トレーニング期,フォローアップ期で構成し,ベースライン期では週1回の測定を4回実施し,トレーニング期では週2-3回の合計12回のGMT,BWSTTをそれぞれ実施し,3回終了ごとに測定を実施した。フォローアップ期では週1回の測定を4回実施した。本研究のGMTの歩行感覚提示装置にはGaitMaster4(筑波大学大学院システム情報工学研究科開発)を使用した。BWSTTにはBIODEX社製のUnweighing SystemとGait Training Systemを使用した。トレーニング条件はGMT,BWSTTともに歩行練習時間は20分間で1施行,歩行速度は対象者が歩行トレーニング可能な速度で最も速い速度とした。また,Unweighing Systemによる体重の免荷量は体重の20%の免荷量とした。研究期間中は,研究前に行っていた活動や運動,リハビリテーションを継続して行うように指示し,それらの内容に制限はしなかった。評価指標は10m最大歩行速度,TUG,Hand-held dynamometer(ANIMA社製μ Tas-MF01)による等尺性収縮筋力(股関節,膝関節屈曲伸展筋力)とした。統計学的分析では,各評価指標においてGMT,BWSTTのそれぞれのベースライン期4週間の平均値を算出し,トレーニング期,フォローアップ期においてベースライン期からの変化量を算出した。GMTとBWSTTの効果の差を見るためにトレーニング期終了時とフォローアップ終了時をMann-Whitney U検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。
【結果】最大歩行速度,TUGは11名で解析し,等尺性収縮筋力に関して,2名が測定できなかったため9名で解析した。最大歩行速度ではトレーニング期(GMT:0.13±0.05m/s,BWSTT:0.18±0.06m/s,p=0.652),フォローアップ期(GMT:0.16±0.06m/s,BWSTT:0.12±0.06m/s,p=0.270)で有意差は認められなかった。TUGではトレーニング期(GMT:-2.3±0.8秒,BWSTT:-0.9±0.6秒,p=0.300),フォローアップ期(GMT:-3.0±0.9秒,BWSTT:-0.9±0.7秒,p=0.088)で有意差は認められなかった。等尺性収縮筋力では,トレーニング期の麻痺側股関節伸展筋力(GMT:1.1±0.5kg,BWSTT:-0.5±0.7kg,p=0.011),フォローアップ期の麻痺側膝関節屈曲筋力(GMT:2.3±0.8kg,BWSTT:-0.1±0.7kg p=0.024)でGMTにおいて有意な増加が認められた。その他の筋力に関しては有意な増加は認められなかったがBWSTTよりもGMTで増加している傾向が認められた。
【考察】これらの結果から,GMTは歩行能力,バランス能力の改善にはBWSTTと同程度,筋力の改善に関しては同程度以上の効果を有すると考えられ,臨床現場における有用性が示唆された
【理学療法学研究としての意義】ロボット技術を用いたトレーニングの臨床的有用性を検討する意義は重要であると考える。
【方法】方法はGMTとBWSTTにおける群間比較デザインとした。対象者は外来通院が可能で,GMTが実施可能な維持期脳卒中患者11名(男性8名,女性3名),平均年齢は59.4±10.8歳,発症からの期間は45.1±35.1か月であった。対象者はGMTとBWSTTの両方を実施し,実施する歩行トレーニングの間は少なくとも2か月以上あけるように設定した。研究プロトコルは,GMT,BWSTTともにベースライン期,トレーニング期,フォローアップ期で構成し,ベースライン期では週1回の測定を4回実施し,トレーニング期では週2-3回の合計12回のGMT,BWSTTをそれぞれ実施し,3回終了ごとに測定を実施した。フォローアップ期では週1回の測定を4回実施した。本研究のGMTの歩行感覚提示装置にはGaitMaster4(筑波大学大学院システム情報工学研究科開発)を使用した。BWSTTにはBIODEX社製のUnweighing SystemとGait Training Systemを使用した。トレーニング条件はGMT,BWSTTともに歩行練習時間は20分間で1施行,歩行速度は対象者が歩行トレーニング可能な速度で最も速い速度とした。また,Unweighing Systemによる体重の免荷量は体重の20%の免荷量とした。研究期間中は,研究前に行っていた活動や運動,リハビリテーションを継続して行うように指示し,それらの内容に制限はしなかった。評価指標は10m最大歩行速度,TUG,Hand-held dynamometer(ANIMA社製μ Tas-MF01)による等尺性収縮筋力(股関節,膝関節屈曲伸展筋力)とした。統計学的分析では,各評価指標においてGMT,BWSTTのそれぞれのベースライン期4週間の平均値を算出し,トレーニング期,フォローアップ期においてベースライン期からの変化量を算出した。GMTとBWSTTの効果の差を見るためにトレーニング期終了時とフォローアップ終了時をMann-Whitney U検定を用いて比較した。有意水準は5%とした。
【結果】最大歩行速度,TUGは11名で解析し,等尺性収縮筋力に関して,2名が測定できなかったため9名で解析した。最大歩行速度ではトレーニング期(GMT:0.13±0.05m/s,BWSTT:0.18±0.06m/s,p=0.652),フォローアップ期(GMT:0.16±0.06m/s,BWSTT:0.12±0.06m/s,p=0.270)で有意差は認められなかった。TUGではトレーニング期(GMT:-2.3±0.8秒,BWSTT:-0.9±0.6秒,p=0.300),フォローアップ期(GMT:-3.0±0.9秒,BWSTT:-0.9±0.7秒,p=0.088)で有意差は認められなかった。等尺性収縮筋力では,トレーニング期の麻痺側股関節伸展筋力(GMT:1.1±0.5kg,BWSTT:-0.5±0.7kg,p=0.011),フォローアップ期の麻痺側膝関節屈曲筋力(GMT:2.3±0.8kg,BWSTT:-0.1±0.7kg p=0.024)でGMTにおいて有意な増加が認められた。その他の筋力に関しては有意な増加は認められなかったがBWSTTよりもGMTで増加している傾向が認められた。
【考察】これらの結果から,GMTは歩行能力,バランス能力の改善にはBWSTTと同程度,筋力の改善に関しては同程度以上の効果を有すると考えられ,臨床現場における有用性が示唆された
【理学療法学研究としての意義】ロボット技術を用いたトレーニングの臨床的有用性を検討する意義は重要であると考える。