[P1-C-0346] COPD患者に対する短期外来運動療法の効果
Keywords:運動療法, 慢性閉塞性肺疾患, 6分間歩行
【はじめに】慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)は全身性の炎症を伴い多様な併存症を誘発することから全身性疾患として捉えられている。Waschkiら(2011)によるとCOPD患者は身体活動レベルによって生存率が大きく異なるとされ,Pittaら(2005)はCOPD患者の身体活動量はGOLDのステージI,IIの早期から低下することを報告している。COPD患者では,身体活動量の維持は重要であり,患者教育,運動療法,栄養管理等から構成される呼吸リハビリテーションは早期からの実施が重要であるとされる。COPD患者に対する運動療法の報告は多々あるが,短期間の実施,かつ実施内容を統一して行った報告は少ない。今回,COPD患者に対して統一した10回の短期・短時間で運動療法を実施し,その効果について前向きに検討したので考察を加えて報告する。
【対象と方法】対象は2013年8月から2014年6月に外来運動療法を実施したCOPD患者32名(男性31名,女性1名),平均年齢76±5.1歳,body mass index(BMI)23.7±2.9,Brinkman Indexは1240±540,GOLDステージI2名,II15名,III13名,IV2名であった。主な除外基準は,①過去の運動療法施行歴,②影響を及ぼすCOPD以外の呼吸器疾患合併,③運動療法の妨げとなる神経筋疾患,整形外科疾患,④開始前4週以内の定期治療薬の変更⑤主治医が不適切と判断した場合とした。
外来運動療法はコンディショニング,レジスタンストレーニング,有酸素トレーニングの実施時間を定め週1回2単位(40分)を前後の評価を含め10回実施した。前後の各1回で身体機能の評価を実施した。同時に主治医による動脈血ガス分析,呼吸機能評価を実施した。なお,外来運動療法開始時,終了時の評価は同一検者が行った。主な中止基準は来院しなくなった場合,全身状態や呼吸状態に影響を及ぼす疾患で入院を要した場合,2週間以上のCOPDに関連した治療の変更,在宅酸素の流量変更の場合とした。評価項目は6MWD,膝伸展筋力,握力,BMI,呼吸機能,IL-6,好感度CRP,modified British medical research council(mMRC),St.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ),COPD Assessment Test(CAT),Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),Mini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)とした。
分析項目は,各評価項目の運動療法開始時・終了時での差とし,wilcoxon検定を用いて分析した。全ての検定における有意水準は5%とした。
【結果】32名中3名が中止し,29名がプログラムを完遂した。脱落者の中止理由はCOPD急性増悪,酸素流量の変更,細菌性肺炎であった。運動療法開始時・終了時の差は6MWD,mMRC,膝伸展筋力,Anxientyの項目において有意な差を認めた。
【考察】今回,10回の外来運動療法実施において6MWD,mMRC,膝伸展筋力,Anxientyが有意に改善し短期間の外来運動療法実施が有用である可能性が示唆された。運動療法の効果は骨格筋の毛細血管密度の増加,末梢血管抵抗の減少,嫌気性代謝閾値の増加などが報告されており今回6MWD・膝伸展筋力の増加,呼吸困難の減少につながったと考えられる。肺機能についてはRiesら(2007)の報告と同様に改善は認められなかった。
また,呼吸リハビリテーションは心理面にも良い影響を与え,敷中ら(2003)によると6ヶ月の呼吸リハビリテーションプログラム施行によりDepression,Anxientyは有意に改善すると報告している。本研究ではDepressionでは改善を認めず,Anxientyのみ有意に改善した。今回は短期外来運動療法のみ実施であった為,今後Depressionの改善の為には看護師による急変時対応の説明,管理栄養士による食事指導,薬剤師による服薬指導など包括的に関わること,外来運動療法の回数を増やす必要性があること,Depression改善には期間が必要である可能性も考えられた。
千木良ら(2014)は週1回12週間の外来運動療法において6MWDの改善を認めたと短期外来運動療法の効果を報告しているが,他に報告している文献は少ない。本研究では10回の短期間の外来運動療法において一定の効果を認めた。この結果,短期外来運動療法のメリットは患者の通院負担が少なく,マンパワー不足でも行える点があり,今後多くのCOPD患者に対し実施できる可能性が示唆された。
【対象と方法】対象は2013年8月から2014年6月に外来運動療法を実施したCOPD患者32名(男性31名,女性1名),平均年齢76±5.1歳,body mass index(BMI)23.7±2.9,Brinkman Indexは1240±540,GOLDステージI2名,II15名,III13名,IV2名であった。主な除外基準は,①過去の運動療法施行歴,②影響を及ぼすCOPD以外の呼吸器疾患合併,③運動療法の妨げとなる神経筋疾患,整形外科疾患,④開始前4週以内の定期治療薬の変更⑤主治医が不適切と判断した場合とした。
外来運動療法はコンディショニング,レジスタンストレーニング,有酸素トレーニングの実施時間を定め週1回2単位(40分)を前後の評価を含め10回実施した。前後の各1回で身体機能の評価を実施した。同時に主治医による動脈血ガス分析,呼吸機能評価を実施した。なお,外来運動療法開始時,終了時の評価は同一検者が行った。主な中止基準は来院しなくなった場合,全身状態や呼吸状態に影響を及ぼす疾患で入院を要した場合,2週間以上のCOPDに関連した治療の変更,在宅酸素の流量変更の場合とした。評価項目は6MWD,膝伸展筋力,握力,BMI,呼吸機能,IL-6,好感度CRP,modified British medical research council(mMRC),St.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ),COPD Assessment Test(CAT),Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS),Mini Nutritional Assessment-Short Form(MNA-SF)とした。
分析項目は,各評価項目の運動療法開始時・終了時での差とし,wilcoxon検定を用いて分析した。全ての検定における有意水準は5%とした。
【結果】32名中3名が中止し,29名がプログラムを完遂した。脱落者の中止理由はCOPD急性増悪,酸素流量の変更,細菌性肺炎であった。運動療法開始時・終了時の差は6MWD,mMRC,膝伸展筋力,Anxientyの項目において有意な差を認めた。
【考察】今回,10回の外来運動療法実施において6MWD,mMRC,膝伸展筋力,Anxientyが有意に改善し短期間の外来運動療法実施が有用である可能性が示唆された。運動療法の効果は骨格筋の毛細血管密度の増加,末梢血管抵抗の減少,嫌気性代謝閾値の増加などが報告されており今回6MWD・膝伸展筋力の増加,呼吸困難の減少につながったと考えられる。肺機能についてはRiesら(2007)の報告と同様に改善は認められなかった。
また,呼吸リハビリテーションは心理面にも良い影響を与え,敷中ら(2003)によると6ヶ月の呼吸リハビリテーションプログラム施行によりDepression,Anxientyは有意に改善すると報告している。本研究ではDepressionでは改善を認めず,Anxientyのみ有意に改善した。今回は短期外来運動療法のみ実施であった為,今後Depressionの改善の為には看護師による急変時対応の説明,管理栄養士による食事指導,薬剤師による服薬指導など包括的に関わること,外来運動療法の回数を増やす必要性があること,Depression改善には期間が必要である可能性も考えられた。
千木良ら(2014)は週1回12週間の外来運動療法において6MWDの改善を認めたと短期外来運動療法の効果を報告しているが,他に報告している文献は少ない。本研究では10回の短期間の外来運動療法において一定の効果を認めた。この結果,短期外来運動療法のメリットは患者の通院負担が少なく,マンパワー不足でも行える点があり,今後多くのCOPD患者に対し実施できる可能性が示唆された。