[P2-A-0410] 終末期がんリハビリテーション
乳癌から全身多発転移による状態悪化があったが自宅外泊を達成できた症例
Keywords:がんリハビリテーション, 終末期, 脳転移
【目的】
乳癌原発で脳転移,腰椎転移からADLの低下を生じたが,本人・家族の希望である自宅外泊を達成できた症例を経験したので報告する。
【症例提示】
乳癌術後で仕事と家事を行っていた50代女性。肺・肝・腎・リンパ節・骨転移を合併し,外来化学療法を施行していた。肺転移の増悪による随伴性肺炎で入院となり,保存的加療後化学療法再開した。腰部痛精査目的に整形外科受診し,左大腿骨転子部,左腸骨,第12胸椎,第1・4・5腰椎,仙骨に骨転移診断。病的骨折のリスクはあるものの,荷重歩行,日常生活動作は許可され,理学療法依頼となった。
【経過と考察】
初期評価時は,立位でふらつき強く,片脚立ち不可,歩行器使用で室内歩行監視。下肢MMT2~3での筋力低下あるが明らかな麻痺はなし。飲水時のむせ,バレー徴候陽性あり,左麻痺を疑い主治医に報告した。翌日MRI撮影し多発脳転移と診断され,手術適応なく放射線治療方針となった。理学療法介入7日目に歩行器歩行で院内移動可能なまでに身体能力は改善がみられた。8日目から全脳照射開始し,40Gy/20fr。施行後のMRIで脳転移は縮小が確認された。ところが15日目から左下肢筋力低下が進行し,遠位ほど顕著でMMT1~2。22日目から腰仙椎放射線治療開始し40Gy/16fr。施行されるも下肢麻痺や疼痛,しびれの改善には至らず,43日目に両下肢完全麻痺を呈した。しかし本人が強く希望された外泊・自宅退院を目指し,看護師・家族へ介助方法の指導や環境調整を行い,45日目に自宅外泊を行うことができた。
脳転移に対し全脳照射が早期に行われたことで,脳機能障害が改善し,家族とのコミュニケーションやQOLを維持することができた。麻痺等の身体機能変化は理学療法士が最も早く発見できる可能性があり,病状の変化に注意する必要がある。また,状態が刻々と変化する終末期で,多職種が連絡を密に取り,チームとして介入できたことが目標の達成に繋がったと考えられる。
乳癌原発で脳転移,腰椎転移からADLの低下を生じたが,本人・家族の希望である自宅外泊を達成できた症例を経験したので報告する。
【症例提示】
乳癌術後で仕事と家事を行っていた50代女性。肺・肝・腎・リンパ節・骨転移を合併し,外来化学療法を施行していた。肺転移の増悪による随伴性肺炎で入院となり,保存的加療後化学療法再開した。腰部痛精査目的に整形外科受診し,左大腿骨転子部,左腸骨,第12胸椎,第1・4・5腰椎,仙骨に骨転移診断。病的骨折のリスクはあるものの,荷重歩行,日常生活動作は許可され,理学療法依頼となった。
【経過と考察】
初期評価時は,立位でふらつき強く,片脚立ち不可,歩行器使用で室内歩行監視。下肢MMT2~3での筋力低下あるが明らかな麻痺はなし。飲水時のむせ,バレー徴候陽性あり,左麻痺を疑い主治医に報告した。翌日MRI撮影し多発脳転移と診断され,手術適応なく放射線治療方針となった。理学療法介入7日目に歩行器歩行で院内移動可能なまでに身体能力は改善がみられた。8日目から全脳照射開始し,40Gy/20fr。施行後のMRIで脳転移は縮小が確認された。ところが15日目から左下肢筋力低下が進行し,遠位ほど顕著でMMT1~2。22日目から腰仙椎放射線治療開始し40Gy/16fr。施行されるも下肢麻痺や疼痛,しびれの改善には至らず,43日目に両下肢完全麻痺を呈した。しかし本人が強く希望された外泊・自宅退院を目指し,看護師・家族へ介助方法の指導や環境調整を行い,45日目に自宅外泊を行うことができた。
脳転移に対し全脳照射が早期に行われたことで,脳機能障害が改善し,家族とのコミュニケーションやQOLを維持することができた。麻痺等の身体機能変化は理学療法士が最も早く発見できる可能性があり,病状の変化に注意する必要がある。また,状態が刻々と変化する終末期で,多職種が連絡を密に取り,チームとして介入できたことが目標の達成に繋がったと考えられる。