第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター10

生活環境支援/福祉用具・地域在宅1

Sat. Jun 6, 2015 11:25 AM - 12:25 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-A-0421] 両下腿切断を有する脳梗塞例の理学療法を経験して

豊島晶, 植村健吾, 青木敦志, 姜治求 (清仁会シミズ病院)

Keywords:脳梗塞, 両下腿切断, 半側空間無視

【目的】
両下腿切断者が広範な脳梗塞を発症し,半側空間無視(Unilateral spatial neglect以下USN),を認めた。USNでは無視側へ注意をむけることなど介入方法が報告され,麻痺側に注意を向けるには,特殊・体性感覚の入力が重要となる。本症例は発症前義足を装着し自転車も使用して屋外生活をおくっていた。その生活様式から身体図式は義足を装着したものと,非装着のものの2つが存在していると考えた。体性感覚の入力増大を目指すためには義足を装着した状態での身体図式の再構築が必要と考え,その治療経過を報告する。
【症例提示】
60歳代男性入院前は両PTB式下腿義足を使用。右大脳半球に広範囲の脳梗塞により左片麻痺,脳浮腫の増悪のため開頭外減圧術施行。52病日目,回復期病院転院となった。
【経過と考察】
初期評価時Brunnstrom recovery stage(以下Brs)上肢I,手指I,下肢I,Functional Independence Measure(以下FIM)総合25点(運動項目13点,認知項目12点),Stroke Impairment Assessment Set(以下SIAS)23,線分二等分試験よりUSNを認めた。歩行獲得困難と考え,座位保持・移動動作獲得を目標とした。そして理学療法を義足非装着で行うと,元々の日常生活との違いによって身体図式の変化を招く。義足を装着し無視側へ注意をむけることや,麻痺側へのリーチ動作活動等を行った。座位保持向上を目指し,その後の移動手段獲得へとつなげた。
その結果,14病日目ではFIM総合37点(運動項目22点,認知項目15点)に改善した。22病日目は紙面上でUSN改善,端・長座位保持,声掛けにていざり動作向上,車椅子移動FIM5点となる。最終評価ではBrs上肢III,手指III,下肢III,FIM56点(運動項目36点,認知項目20点),SIAS31,線分二等分試験より半側空間無視改善も動作時に残存。身体図式修正に伴い,活動性が向上したと考える。そして52病日目回復期病院へ転院となった。