第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター11

生活環境支援/福祉用具・地域在宅2

Sat. Jun 6, 2015 11:25 AM - 12:25 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-A-0425] 自立歩行が可能な腰髄損傷者に生じた左坐骨部褥瘡の1例

廣島拓也, 水田宗達 (埼玉県総合リハビリテーションセンター理学療法科)

Keywords:腰髄損傷, 坐骨部褥瘡, 座位姿勢

【目的】日本褥瘡学会褥瘡予防・管理ガイドラインによると,基本的動作能力がベッド上またはイス上であると褥瘡発生リスクが高いとしている。そのため,基本的動作能力が歩行である症例は,褥瘡発生のリスクが少ないと思われた。しかし,屋外自立歩行が可能で,日常生活も自立しているにもかかわらず,左坐骨部に褥瘡が発生した症例を経験し,在宅復帰後の生活を予測し褥瘡発生リスクの有無を評価することと,予防のための福祉用具選定と情報提供の重要性を再認識できたので報告する。
【症例提示】29歳男性,転落事故による腰髄損傷,不全対麻痺(L2以下)。受傷前は会社経営をしており,退院後も復職を希望していた。褥瘡発生時の身体機能は,両側短下肢装具を利用し屋外歩行が自立し,連続歩行距離は2,000m以上と歩行は実用レベルであった。褥瘡リスクアセスメントは,坐骨部周囲の表在感覚が脱失していること,喫煙者であることが挙げられ,SCIPUSスケールは3点,ブレーデンスケールでは20点であり,入院中の褥瘡歴はなかった。
【経過と考察】当センター退院時は,両杖と短下肢装具利用での自立歩行にて自宅退院し,除圧動作やクッションの対応なく日常生活が送れていた。退院19か月後,左坐骨部に褥瘡が発生(DESIGN-Rはd2-e1s6i1g1n0p0:9)し,分層植皮術・皮弁形成術を施行し治癒となる。褥瘡発生直前の生活状況は,パソコン作業を中心としたデスクワークをして過ごすことが多かった。この時の座位は右足を左足上に組む姿勢であったため,左坐骨部に体圧が集中し褥瘡発生に至ったと考えられた。本症例のように身体能力は高いが,感覚障害がある場合は褥瘡発生し得ることが示唆された。また,褥瘡予防のために,病院と退院後自宅での生活環境・様式の相違を十分に把握し,褥瘡予防用クッションの選定と除圧動作などの褥瘡に関する情報提供の重要性を再認識することができた。