[P2-A-0431] 妊娠と腰痛
~シングルケースによる産前・産後の比較検討~
キーワード:妊娠, 疼痛, 理学療法
【目的】
妊娠による腰痛発症の割合は比較的高いことが報告されているが,理学療法領域における妊娠期の腰痛に関する報告は現在までに散見されない。しかしながら,今後の理学療法の新規市場開拓かつ発展を考えると非常に有益に富むと考える。本報告では,産前・産後に腰痛を訴えた患者の理学療法を通じて得られた知見・経験を報告するものである。
【症例提示】
症例は20歳代後半の女性,経産婦である。産前は,妊娠29週時に,「右の腰と,恥骨に痛みがある」と訴えた。整形外科及び各種疾患の既往歴はない。産後は,産後3か月時に,「右の腰に痛みがある」と訴えた。産前,産後共に母子の健康上及び,理学療法実施上の問題は見られなかった。各種リスク管理を行いながら理学療法評価,治療を行った。
【経過と考察】
妊娠時の腰痛に関しては先行研究でも報告されている通り,第一に,妊娠に伴うホルモン分泌が腰椎や骨盤周囲の靭帯を弛緩する作用があり,このことが支持性を低下させることで筋や靭帯,関節への負荷が増加することで仙腸関節,恥骨結合部に疼痛が発生すると考える。第二に,腹部増大に伴う胸腰椎,骨盤のアライメントの異常,メカニカルストレスの増大が生じる一方で,腹部の緊張は低下することにより静的・動的姿勢制御が困難となることで疼痛が発生すると考える。妊娠後の腰痛に関しては,妊娠前の姿勢,生活習慣等にも影響されると考えるが,出産後の心身機能回復,日常生活への順応等に加え,乳児への授乳,育児による姿勢,生活習慣も影響していることから,静的・動的姿勢制御が出産後速やかに修正することは考えにくい。このことから,予防医学的観点に基づき,早期から理学療法が貢献できることを実践していきたい。
妊娠による腰痛発症の割合は比較的高いことが報告されているが,理学療法領域における妊娠期の腰痛に関する報告は現在までに散見されない。しかしながら,今後の理学療法の新規市場開拓かつ発展を考えると非常に有益に富むと考える。本報告では,産前・産後に腰痛を訴えた患者の理学療法を通じて得られた知見・経験を報告するものである。
【症例提示】
症例は20歳代後半の女性,経産婦である。産前は,妊娠29週時に,「右の腰と,恥骨に痛みがある」と訴えた。整形外科及び各種疾患の既往歴はない。産後は,産後3か月時に,「右の腰に痛みがある」と訴えた。産前,産後共に母子の健康上及び,理学療法実施上の問題は見られなかった。各種リスク管理を行いながら理学療法評価,治療を行った。
【経過と考察】
妊娠時の腰痛に関しては先行研究でも報告されている通り,第一に,妊娠に伴うホルモン分泌が腰椎や骨盤周囲の靭帯を弛緩する作用があり,このことが支持性を低下させることで筋や靭帯,関節への負荷が増加することで仙腸関節,恥骨結合部に疼痛が発生すると考える。第二に,腹部増大に伴う胸腰椎,骨盤のアライメントの異常,メカニカルストレスの増大が生じる一方で,腹部の緊張は低下することにより静的・動的姿勢制御が困難となることで疼痛が発生すると考える。妊娠後の腰痛に関しては,妊娠前の姿勢,生活習慣等にも影響されると考えるが,出産後の心身機能回復,日常生活への順応等に加え,乳児への授乳,育児による姿勢,生活習慣も影響していることから,静的・動的姿勢制御が出産後速やかに修正することは考えにくい。このことから,予防医学的観点に基づき,早期から理学療法が貢献できることを実践していきたい。