第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター5

院内の取り組み

Sat. Jun 6, 2015 11:25 AM - 12:25 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-A-0456] 当院ICUにおける専従および担当理学療法士による複数担当制の有用性について

横井佑樹, 西原浩真, 岩田健太郎, 影山智広, 坂本裕規, 小柳圭一, 前川利雄, 瀬尾龍太郎, 朱祐珍 (神戸市立医療センター中央市民病院)

Keywords:専従理学療法士, ICU, 複数担当制

【目的】
当院ではこれまで,患者入院時に担当理学療法士(以下,PT)を決定し,退院まで継続して治療を行っていた。平成26年度よりICUに専従PTを配置し,担当PTと2名で複数担当制によるリハビリテーション(以下,リハ)を実施している。専従PTの業務は,①予防的早期介入のためのコンサルテーション,②医師・看護師との情報共有,③担当PTへの迅速な情報提供および治療プログラムの標準化である。本研究の目的は,当院ICUにおける複数担当制がICU入室中患者に与える影響を調査報告することである。
【方法】
対象は,専従PT導入開始となった2014年5月から7月までのICU入室患者198例中リハ介入があった連続166例(専従群,平均年齢65.9±18.6歳)と2013年5月から7月までのICU入室患者169例中リハ介入があった連続131例(非専従群,平均年齢64.8±17.8歳)とした。ICU入室期間,リハ開始,離床,抜管までの日数,人工呼吸器装着期間,肺合併症罹患率(ICU入室後,新たに出現した肺炎,VAP)に関して2群間で比較検討した。
【結果と考察】
リハ開始までの日数は専従群では1.8±2.1日,非専従群では2.4±1.9日であり,専従群で有意に早かった(p=0.05)。人工呼吸器装着期間は専従群では4.8±6.2日,非専従群では8.5±15.1日であり,専従群で有意に短かった(p=0.05)。また,肺合併症罹患率は専従群では13.1%,非専従群では23.7%と専従群で低下した。さらに両期間を比較すると,専従導入後に入室患者数が17%増加していた。専従PT配置後,リハ開始までの日数が早まり,人工呼吸器装着期間の短縮や肺合併症罹患率が低下した。これらが影響し,長期入室例が減少したために,ICUベッドの回転率が上昇した。専従PTの早期介入と,担当PTと連携した訓練頻度の増加が一因と考えられ,有用性が示唆された。