[P2-A-0720] 若年成人における身体活動が実行機能に与える影響 第二報
背景因子の検討
Keywords:身体活動量, 実行機能, 背景因子
【はじめに,目的】我々は健常大学生を対象とした先行研究において,身体活動量の高さが実行機能の働きに影響する事を報告している。本研究は先行研究の関連研究である。また身体活動量は重要な認知症発症リスク要因の1つである。本研究の目的は健常大学生の実行機能の働きに影響を与えている身体活動量の違いとその背景因子について検討することである。
【方法】対象は健常大学生40名とした(20.4±1.1歳,男性25名,女性15名)。身体活動量はSUZUKEN社製KenzライフコーダPULSを用いて1週間計測を行った。Catrineらの報告に基づき,平均歩数から一日7500歩未満をLOW群,7500~10000歩未満をMIDDLE群,10000歩以上をHIGH群とした。アンケートを用いて,過去の運動歴・競技成績,現在の運動歴,既往歴,喫煙歴・飲酒歴・余暇活動の有無,認知症の家族歴,運動実施に対する自己効力感,健康意識を調査した。運動実施に対する自己効力感は4条件下で運動する自信があるかないかを5段階で評価した。健康意識は同性同世代の他者と比較した健康状態や運動能力に関する意識を5段階で評価した。統計学的処理はSPSS Statistics 22を使用し,有意水準は5%未満とした。アンケートは3群間にてM×N表を用いχ2検定および残差分析を行った。各群間における運動実施に対する自己効力感(各項目,合計点,平均点),健康意識(同輩他者比較健康状態,同輩他者比較運動機能)については一元配置分散分析を行った。各群間に有意差を認めた場合,Tukeyの多重比較検定を用いて各群間の比較検討を行った。
【結果】1週間の平均歩数からLOW群が12名,MIDDLE群が18名,HIGH群が10名となった。3群間の年齢,教育歴,BMI,男女比については有意差を認めなかった。身体活動量の指標として用いた歩数については,3群間で有意差を認めた。アンケート内容で有意差を認めた項目は,競技種類と現在の運動時間の項目であった。また,運動実施に対する自己効力感では合計点と下位項目の「あまり気分がのらないときでも運動する自信がある」でLOW群はMIDDLE群,HIGH群よりも有意に低い値となった。健康意識では同輩他者比較運動能力の項目において,LOW群はMIDDLE群,HIGH群よりも有意に低い値となった。
【考察】先行研究の結果から身体活動量が高い群では実行機能の働きが高いことが認められた。本研究では,先行研究の対象者データおよび身体活動量やその他背景因子のアンケートデータから分析を実施した。歩数,運動量(移動に関する消費エネルギー量)には3群間で有意差を認めた。しかし年齢,教育歴,喫煙歴,BMI,男女比には3群間での有意差を認めなかった。競技種類ではHIGH群はコンタクトスポーツ経験者,MIDDLE群ではノンコンタクトスポーツ経験者,LOW群ではスポーツ経験なしの割合が高いことが明らかとなった。さらに身体活動量HIGH群では現在の運動習慣が週3時間以上の割合が高い。またHIGH群では現在の運動習慣がない者も確認された。この対象者は通学時の歩行距離が長いもしくはアルバイトによって身体活動量を高く維持している事が調査から明らかとなった。健康意識,運動実施に対する自己効力感については,LOW群が他の2群と比較して有意に低値を示す項目を認めた。特に自己効力感については運動の継続性と関連性が高いと報告されており,HIGH群の現在の運動習慣との関連性が示唆された。定期的身体活動(ウォーキング等を含む)が高い程,認知障害のリスクは低いとの報告もあり,20代から身体活動量を高く維持することのメリットは大きいと考えられる。
【理学療法学研究としての意義】若年層における身体活動量やその背景因子に対する検討は,実行機能障害の予防的介入の視点や指標として利用できる可能性がある。
【方法】対象は健常大学生40名とした(20.4±1.1歳,男性25名,女性15名)。身体活動量はSUZUKEN社製KenzライフコーダPULSを用いて1週間計測を行った。Catrineらの報告に基づき,平均歩数から一日7500歩未満をLOW群,7500~10000歩未満をMIDDLE群,10000歩以上をHIGH群とした。アンケートを用いて,過去の運動歴・競技成績,現在の運動歴,既往歴,喫煙歴・飲酒歴・余暇活動の有無,認知症の家族歴,運動実施に対する自己効力感,健康意識を調査した。運動実施に対する自己効力感は4条件下で運動する自信があるかないかを5段階で評価した。健康意識は同性同世代の他者と比較した健康状態や運動能力に関する意識を5段階で評価した。統計学的処理はSPSS Statistics 22を使用し,有意水準は5%未満とした。アンケートは3群間にてM×N表を用いχ2検定および残差分析を行った。各群間における運動実施に対する自己効力感(各項目,合計点,平均点),健康意識(同輩他者比較健康状態,同輩他者比較運動機能)については一元配置分散分析を行った。各群間に有意差を認めた場合,Tukeyの多重比較検定を用いて各群間の比較検討を行った。
【結果】1週間の平均歩数からLOW群が12名,MIDDLE群が18名,HIGH群が10名となった。3群間の年齢,教育歴,BMI,男女比については有意差を認めなかった。身体活動量の指標として用いた歩数については,3群間で有意差を認めた。アンケート内容で有意差を認めた項目は,競技種類と現在の運動時間の項目であった。また,運動実施に対する自己効力感では合計点と下位項目の「あまり気分がのらないときでも運動する自信がある」でLOW群はMIDDLE群,HIGH群よりも有意に低い値となった。健康意識では同輩他者比較運動能力の項目において,LOW群はMIDDLE群,HIGH群よりも有意に低い値となった。
【考察】先行研究の結果から身体活動量が高い群では実行機能の働きが高いことが認められた。本研究では,先行研究の対象者データおよび身体活動量やその他背景因子のアンケートデータから分析を実施した。歩数,運動量(移動に関する消費エネルギー量)には3群間で有意差を認めた。しかし年齢,教育歴,喫煙歴,BMI,男女比には3群間での有意差を認めなかった。競技種類ではHIGH群はコンタクトスポーツ経験者,MIDDLE群ではノンコンタクトスポーツ経験者,LOW群ではスポーツ経験なしの割合が高いことが明らかとなった。さらに身体活動量HIGH群では現在の運動習慣が週3時間以上の割合が高い。またHIGH群では現在の運動習慣がない者も確認された。この対象者は通学時の歩行距離が長いもしくはアルバイトによって身体活動量を高く維持している事が調査から明らかとなった。健康意識,運動実施に対する自己効力感については,LOW群が他の2群と比較して有意に低値を示す項目を認めた。特に自己効力感については運動の継続性と関連性が高いと報告されており,HIGH群の現在の運動習慣との関連性が示唆された。定期的身体活動(ウォーキング等を含む)が高い程,認知障害のリスクは低いとの報告もあり,20代から身体活動量を高く維持することのメリットは大きいと考えられる。
【理学療法学研究としての意義】若年層における身体活動量やその背景因子に対する検討は,実行機能障害の予防的介入の視点や指標として利用できる可能性がある。