第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター12

生活環境支援/その他

2015年6月6日(土) 13:50 〜 14:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-B-0429] 腰痛症へのアプローチ

~セルフコントロールを目指した一症例~

花澤晃宏 (慈生会山口整形外科)

キーワード:腰痛, ホームエクササイズ, セルフモニタリング

【目的】
成人の70%は腰痛を経験し,60%程が再発し(Andersson,1999),米国では腰痛による経済的損失額は約9兆円とされている(Dagenasisら,2008)。本邦においては超高齢社会を迎え,医療費の高騰や就労困難により社会経済に与える損失の増大が危惧されている(Suka Mら,2009)。
以上より今回の目的は,症例自身で腰痛をセルフコントロール(以下SC)していくため,「簡便性」「効果的」「自発性」に重点を置き,日常にホームエクササイズ(以下HE)を導入し,その効果を判定することとした。
【症例提示】
45歳,女性,2年前から立ち上がり時等に腰痛出現。来院2ヶ月前から腰痛が増強し,H26.7.5にL5/S1椎間板ヘルニアと診断。治療は1週間のモニタリングとHEの確認を週1回/20分,計8週行った。

【経過と考察】
Numeric Rating Scale(以下NRS)立ち上がり時に左L4・5の多裂筋に7~8。立位前屈・後屈時に4~5。下肢症状無し。
腰痛の分類法は臥位腰椎の屈曲・伸展運動後の立位前・後屈動作時痛と可動域を指標とした。臥位腰椎屈曲運動後に即時的な症状・所見(NRS:1)の改善がみられたため,治療方向を「臥位屈曲負荷」と分類した。
HEは「背臥位での腰椎屈曲運動を1日30回」と症例自身が決定し,セルフモニタリングによりプログラムの作成・変更を症例自身が決定した。1ヶ月後,立位前屈・後屈時痛は消失。立ち上がり時痛はNRS「1」となり殆ど痛み無く過ごすことが可能となった。その後1ヶ月間,疼痛増強が無く,SC可能と判断し治療を終了した。
今回は「簡便」で「効果的」な運動を提供し,セルフモニタリングによって「自発性」を引き出すことで,腰痛に対する認知面・行動面が変容し日常にHEを導入できた。これにより,SCが可能となり2年間続いた腰痛も改善したと考えられる。今後は症例数を重ね検討していきたい。