第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター12

生活環境支援/その他

2015年6月6日(土) 13:50 〜 14:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-B-0432] PT介入が多大な意義がある症例

核上性進行性麻痺における側臥位での食事姿勢の提案に他職種と連携が取れた症例

小島久美子, 小林誠 (社会医療法人至仁会圏央所沢病院)

キーワード:核上性進行性麻痺, 側臥位, 食事

【目的】
核上性進行性麻痺(以下PSP)の特徴でもある頚部強剛にも考慮し,食事摂取時の姿勢アプローチを行い,側臥位での摂取に変更した。その後食事量の増加を認め,覚醒レベルや活動性の向上に繋がった症例であった為報告する。

【症例提示】
78歳,男性。本症例は2010年4月にPSPの診断を受けた。食事摂取時間の延長や食事量減少により,介護負担の増加,利用者自身の活動量低下が懸念された。

【経過と考察】
2013年12月より訪問リハビリの理学療法士(以下PT)開始。ご家族様の希望では動作の介助量軽減であったが,同時に覚醒不良による食事量減少,発話明瞭度低下も見られたので言語聴覚士(以下ST)の介入も開始した。
2014年8月より車椅子座位での食事摂取に2時間要しており,食事量減少,易疲労性な様子が増えたとご家族様の訴えを受けた。食事量軽減や食事時間延長により,十分な摂取が出来ないことで,動作時の自動運動も減り,介助量も増加。ご家族様の負担軽減と,ご本人様の食事姿勢に着目し,STと相談の上側臥位での食事動作を検討。PTでは市原の報告にあるPSP摂食場面の特徴として,食事を口に溜め込みやすく,動きが止まってしまうことや,頚部強剛により,姿勢を反らせるように頚部後屈で食べることが,誤嚥のリスクを高めるという面に考慮し,姿勢を検討。結果,側臥位では頚部強剛も軽減し,1時間程度に食事時間の短縮,食事量増加も見込まれた。食事時間の短縮によりご家族様負担の軽減も図れ,食事量増加から覚醒レベルの向上ならびに活動性向上も見られた。
在宅では,ご家族様だけでは気付きにくい場面も多々ある。予防的な面も含め,多様な方法を提案することで,安全な在宅生活に繋がると考えた。機能面だけに限らず,他職種やご家族様との連携を図ることで,QOL向上に繋げ,在宅での生活をよりよいものにしていきたい。