[P2-B-0437] 右肩関節脱臼および広範囲腱板断裂により,リバース型人工肩関節全置換術を施行した一症例
キーワード:RSA, 広範囲腱板断裂, リバース型人工肩関節全置換術
【目的】
平成26年4月より,日本でもリバース型人工肩関節全置換術(reverse total shoulder arthroplasty;以下RSA)が認可された。今回,転倒による右肩関節脱臼を受傷により広範囲腱板断裂を呈し自動挙上困難となったが,RSA術後に自動挙上可能となりADL能力が向上した症例の理学療法を経験した。今後のRSA術後理学療法を確立するため,ここに報告する。
【症例提示】
70歳代の女性である。転倒により右肩関節脱臼を受傷し,麻酔下整復後に約1ヶ月間三角巾とバストバンドによる固定となった。理学療法は振り子運動より開始し,その後自動運動が許可されても自動運動は困難であった。受傷2ヶ月後にMRIにて広範囲腱板断裂と診断され,理学療法継続するも自動挙上困難は改善せず受傷後4ヶ月でRSAを施行された。
【経過と考察】
術前評価で,他動関節可動域(以下ROM)は屈曲160度,外転140度。下垂位での等尺性筋力(アニマ社製μtas F-100使用 単位:kgf)は屈曲2.2,外転2.2であった。自動挙上は30度であった。術後は4週間の30度外転装具固定を行い,その期間の理学療法は他動ROM練習と三角筋の等尺性筋力練習が許可されていた。術後3ヶ月で他動ROMは屈曲145度,外転90度まで可能となった。ADLでは入浴,洗髪動作が自己で行えるようになった。stephanieらは,RSA術後の肩関節の固定性と可動性は,三角筋と肩甲骨周囲筋に大きく依存していると述べており,また水野らはRSAは肩関節の回転中心を遠位へ引き下げ内方化することで三角筋のレバーアームを延長させ,関節包や腱板が無くても自動挙上が可能となり,特別な筋力強化練習は必要ないと述べている。しかし,本症例は他のRSA施行例より術前の三角筋筋力に低下を認めており,固定中から筋力強化練習を行っていたことが良好な結果に繋がったと考えられる。RSA術後の理学療法において,肩関節のバイオメカニクスを十分に考慮した評価・治療と術前から機能障害を予測する必要がある。
平成26年4月より,日本でもリバース型人工肩関節全置換術(reverse total shoulder arthroplasty;以下RSA)が認可された。今回,転倒による右肩関節脱臼を受傷により広範囲腱板断裂を呈し自動挙上困難となったが,RSA術後に自動挙上可能となりADL能力が向上した症例の理学療法を経験した。今後のRSA術後理学療法を確立するため,ここに報告する。
【症例提示】
70歳代の女性である。転倒により右肩関節脱臼を受傷し,麻酔下整復後に約1ヶ月間三角巾とバストバンドによる固定となった。理学療法は振り子運動より開始し,その後自動運動が許可されても自動運動は困難であった。受傷2ヶ月後にMRIにて広範囲腱板断裂と診断され,理学療法継続するも自動挙上困難は改善せず受傷後4ヶ月でRSAを施行された。
【経過と考察】
術前評価で,他動関節可動域(以下ROM)は屈曲160度,外転140度。下垂位での等尺性筋力(アニマ社製μtas F-100使用 単位:kgf)は屈曲2.2,外転2.2であった。自動挙上は30度であった。術後は4週間の30度外転装具固定を行い,その期間の理学療法は他動ROM練習と三角筋の等尺性筋力練習が許可されていた。術後3ヶ月で他動ROMは屈曲145度,外転90度まで可能となった。ADLでは入浴,洗髪動作が自己で行えるようになった。stephanieらは,RSA術後の肩関節の固定性と可動性は,三角筋と肩甲骨周囲筋に大きく依存していると述べており,また水野らはRSAは肩関節の回転中心を遠位へ引き下げ内方化することで三角筋のレバーアームを延長させ,関節包や腱板が無くても自動挙上が可能となり,特別な筋力強化練習は必要ないと述べている。しかし,本症例は他のRSA施行例より術前の三角筋筋力に低下を認めており,固定中から筋力強化練習を行っていたことが良好な結果に繋がったと考えられる。RSA術後の理学療法において,肩関節のバイオメカニクスを十分に考慮した評価・治療と術前から機能障害を予測する必要がある。