第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

調査研究 ポスター4

内部障害

2015年6月6日(土) 13:50 〜 14:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-B-0449] 結核病棟におけるリハビリ介入の実績について

開設からの20年の経過

栁澤千香子1, 押見雅義1, 鈴木昭広1, 齋藤康人1, 高橋光美1, 鹿倉稚紗子1, 洲川明久2 (1.埼玉県立循環器・呼吸器病センター理学療法部, 2.埼玉県立循環器・呼吸器病センターリハビリテーション科)

キーワード:結核, リハビリ実績, 転帰

【目的】当センターは循環器・呼吸器疾患専門医療を担っており,一般病床268床を持つ。他,第二種感染症指定医療機関として51床の結核病床を有する。20年前の開設以来,結核患者に対してのリハビリ介入も行っている。日本の結核罹患率は欧米諸国と比べると依然として高く,当センターでのリハビリ依頼件数も増加している。結核患者に対してのリハビリ実績と現状について検証を行った。
【方法】結核病棟からのリハ依頼件数の推移・転帰の傾向・リハ実施内容について20年間の経過を追った。
【結果】H6年度新規依頼件数8件,平均年齢73.8歳,転帰:自宅40.3%・転院29.9%・死亡26.2%。H25年度新規依頼件数27件,平均年齢82.7歳,転帰:自宅26.1%・転院52.2%・死亡13%。20年間の依頼件数は全件数の2±1%で推移しているが増加傾向にあり,平均年齢も上がっている。
【リハ対応】他患者との接触を避けるため隔離病棟での対応,またN95マスクを装着して感染予防を行っている。
【課題】結核での入院期間は平均在院日数38.4日と長期必要となっている。隔離病棟での離床に向けての取り組みは不十分のため,廃用症候群を生じている例がほとんどである。リハ依頼のある患者は,結核の診断の他に脳血管疾患等の既往疾患を抱えている場合が多く,それらに対しても対応を行っている。離床の取り組みに対してリハに依存される傾向にあることから,今後も看護師等他職種を含め体制を構築していく必要がある。厚労省の発表では高齢化が進んでおり,新規登録の三分の一が80歳以上とある。同様に当センターでもリハ依頼時の平均年齢がH6年時と比べると約9歳上がっており,現在では75歳以上の後期高齢者が9割を超えている。また在宅復帰率が約14.2%の減少と顕著であり,社会情勢の変化に影響を受けていると考えられる。現在高齢化社会へ向け地域包括ケアシステムの構築が課題となっている。今後理学療法士としての役割の確立が必要である。