第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター5

院内の取り組み

Sat. Jun 6, 2015 1:50 PM - 2:50 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-B-0454] 回復期病棟患者に対する日常生活動作の自立度を色別に示した表の導入効果

―転倒・転落件数結果より―

南河大輔1, 栗山泰典1, 南田史子1, 曲谷美幸2, 井川宣3 (1.大阪リハビリテーション病院リハビリテーション療法部, 2.大阪リハビリテーション病院看護部, 3.大阪リハビリテーション病院内科・リウマチ科)

Keywords:日常生活動作, 自立度, 転倒予防

【目的】回復期病棟における,患者の日常生活動作(以下ADL)の自立度を,色別に示した表の導入効果について,転倒・転落件数より検討する。
【方法】当院回復期病棟(48床)全患者のベッドサイドにADL表を提示した。ADL表はホワイトボード(縦20cm横30cm)に,「移乗」「排泄」「食事」「その他」「ベッド柵」の項目を設け,自立度を青(自立)・黄(見守り)・赤(介助)のカラーマグネット(縦7cm横10cm)で示した。ベッド柵は,ベッド形状を四角(縦5cm横3cm)で示し,使用本数と位置を示した。ADL表導入4ヵ月後,「食事」「その他」の項目を,よりインシデントに繋がる可能性が高い,「移動」「リスク」に変更した。ADL表導入前,導入後各2年間における転倒・転落インシデントレポートから,転倒・転落率(転倒・転落件数/延患者入院日数;千分率)と,その内,職員の情報共有が原因の転倒・転落率を算出した。導入前は,ADL自立度をカルテと病棟の申し送り帳に記載し,朝礼で報告していた。
【結果と考察】転倒・転落率は導入前6.10‰(170件/27,838日),導入後4.21‰(135件/32,040日)だった。情報共有が原因の転倒・転落率は,導入前0.53‰(15件/27,838日),導入後0.19‰(6件/32,040日)だった。内訳は,トイレ内の付き添い(導入前6件・導入後0件),自室や食堂での付き添い(導入前6件・導入後3件),ベッド柵の本数・位置(導入前2件・導入後2件),車いすのテーブルや足台の設定(導入前1件・導入後1件)だった。導入前,患者の転入出,職員の交代勤務から,職員間の情報共有が難しく,転倒・転落の原因となっていた。ADL表は,職員が頻繁にアクセスするベッドサイドに提示した事や,色別のカラーマグネットが注意を引いた事で,患者のADLに関する職員の共通認識を高め,転倒・転落を予防したと考える。また,トイレ内付き添いの情報共有は徹底されたが,自室等での付き添いやベッド柵の情報共有には改善が必要である。