[P2-B-0675] 当院職員の身体的問題とリハビリへの期待
産業分野への開拓と必要性
Keywords:産業分野, 労働環境, 理学療法の展開
【はじめに,目的】近年理学療法士の産業分野への積極的参入について,学術誌及び学会等で議論がされている。しかし,当院も含め企業等において,積極的に理学療法士が参入しているとは言い難いのが現実である。当院では,看護必要度の平均値は上昇し,かつ看護職員の平均年齢もここ10年で約5歳上昇している。それらも踏まえ,ここ数年リハビリテーション職員に対し,看護職員より運動器の身体症状の相談が増え続けてきた。今回,看護職員に対して,運動器を中心とした身体問題を調査した上,業務における現状,いわゆる産業分野として理学療法を展開した場合,どの程度の期待があるかなどを調査したため報告する。
【方法】当院看護師,及び補助看護師に全員に対して,1段階目として,アンケートを実施した。2段階目として,希望者に対して,理学療法士が中心となり,腰痛,肩こりなどに対する予防策の講義,及び自主トレーニングメニューを作成するといった健康教室を実施した。3段階目として,個別でリハビリテーションを希望する職員に対しては,医師の診断のもと,運動療法や物理療法を実施した(現在も継続して実施中)。アンケートに関しては無記名とし,看護師,補助看護師とそれぞれ用紙を作成し,最大全16項目を選択式(一部記述式)にて回答を求めた。項目は,「年齢・性別・部門」「身体症状の有無」。以下身体症状ありと選択した場合,「部位」「経過年数」「症状」「受診歴」の他,業務上症状がある場合どの場面か,今後の方向性などの回答を求めた。また,当院で身体症状に対するリハビリテーションを行った場合,希望するか否かの質問も含め,希望理由または希望しない理由まで詳細に回答を求めた。
【結果】当院看護職員286名中275名(回収率96%),補助看護職員70名中61名(回収率87%)よりアンケートを回収した。そのうち,なんらかの身体症状があると回答されたものが,看護師41%,補助看護師47%であった。身体症状部位では,腰背部,肩周囲,頸部,膝関節が上位を占めた。それらの症状に対する対処・治療として,マッサージ,整体,接骨院などに通う職員が40~50%であったのに対し,リハビリと回答した職員はほぼ0%であった。今後の方向性として,ほとんどの職員が現状維持,もしくは受診など治療しながら現状維持と回答した一方,看護職員で休職及び退職を視野に入れていると回答したものが8%であった。当院でリハビリテーションを行うという案に対して,希望すると回答したものは約40%。希望理由として時間的・場所的に都合がよい,気軽に受けられるという回答が大きな割合を示した。また希望しない理由として,当院で受診することに抵抗がある,リハビリテーションを受けるほどでもないといった回答が大きな割合を占めた一方,当院のリハビリテーション職員に対する不信感といった回答も少数みられた。また,当院でリハビリを施行する場合,最も期待する事項として,リハビリテーション職員の知識・技術,結果という回答より,リハビリを無料にする,業務時間内にリハビリを行うといった回答の方が多く得られた。
【考察】今回,アンケートから当院で治療してくれるならしてほしいといった希望が多数聞かれた。また,休職や退職を考えている職員が少数ではあるが存在するといった深刻な状況も浮き彫りとなった。当院リハビリテーション科でも,過去に介助の方法や腰痛予防教室などを開催し,職員の身体的ケアに努めてきたが,個別での需要も非常に多く感じた。しかし,対象者の希望として,療法士の技術や知識に期待する声もある一方,企業内(病院内)での,業務時間内に無料で行ってくれるなら当院でのリハビリを希望したいという意見も多数あったことを忘れてはならない。時間や費用に関することも踏まえ,企業側に現状把握をしてもらうこと,それらに対して,リハビリテーションを行った数値的な結果を踏まえ,どれだけ企業に対して利益になるかということもプレゼンしながら,産業分野としてのリハビリテーションを展開していく必要があると考えられる。
【理学療法学研究としての意義】今回,産業分野としてのリハビリテーションの意義を,当院での実状を踏まえ考察した。対患者の理学療法だけでなく,病院職員さらには職業を行っている全ての人に対して,理学療法を展開し,職業分野をさらに広げていくことが重要であると考える。
【方法】当院看護師,及び補助看護師に全員に対して,1段階目として,アンケートを実施した。2段階目として,希望者に対して,理学療法士が中心となり,腰痛,肩こりなどに対する予防策の講義,及び自主トレーニングメニューを作成するといった健康教室を実施した。3段階目として,個別でリハビリテーションを希望する職員に対しては,医師の診断のもと,運動療法や物理療法を実施した(現在も継続して実施中)。アンケートに関しては無記名とし,看護師,補助看護師とそれぞれ用紙を作成し,最大全16項目を選択式(一部記述式)にて回答を求めた。項目は,「年齢・性別・部門」「身体症状の有無」。以下身体症状ありと選択した場合,「部位」「経過年数」「症状」「受診歴」の他,業務上症状がある場合どの場面か,今後の方向性などの回答を求めた。また,当院で身体症状に対するリハビリテーションを行った場合,希望するか否かの質問も含め,希望理由または希望しない理由まで詳細に回答を求めた。
【結果】当院看護職員286名中275名(回収率96%),補助看護職員70名中61名(回収率87%)よりアンケートを回収した。そのうち,なんらかの身体症状があると回答されたものが,看護師41%,補助看護師47%であった。身体症状部位では,腰背部,肩周囲,頸部,膝関節が上位を占めた。それらの症状に対する対処・治療として,マッサージ,整体,接骨院などに通う職員が40~50%であったのに対し,リハビリと回答した職員はほぼ0%であった。今後の方向性として,ほとんどの職員が現状維持,もしくは受診など治療しながら現状維持と回答した一方,看護職員で休職及び退職を視野に入れていると回答したものが8%であった。当院でリハビリテーションを行うという案に対して,希望すると回答したものは約40%。希望理由として時間的・場所的に都合がよい,気軽に受けられるという回答が大きな割合を示した。また希望しない理由として,当院で受診することに抵抗がある,リハビリテーションを受けるほどでもないといった回答が大きな割合を占めた一方,当院のリハビリテーション職員に対する不信感といった回答も少数みられた。また,当院でリハビリを施行する場合,最も期待する事項として,リハビリテーション職員の知識・技術,結果という回答より,リハビリを無料にする,業務時間内にリハビリを行うといった回答の方が多く得られた。
【考察】今回,アンケートから当院で治療してくれるならしてほしいといった希望が多数聞かれた。また,休職や退職を考えている職員が少数ではあるが存在するといった深刻な状況も浮き彫りとなった。当院リハビリテーション科でも,過去に介助の方法や腰痛予防教室などを開催し,職員の身体的ケアに努めてきたが,個別での需要も非常に多く感じた。しかし,対象者の希望として,療法士の技術や知識に期待する声もある一方,企業内(病院内)での,業務時間内に無料で行ってくれるなら当院でのリハビリを希望したいという意見も多数あったことを忘れてはならない。時間や費用に関することも踏まえ,企業側に現状把握をしてもらうこと,それらに対して,リハビリテーションを行った数値的な結果を踏まえ,どれだけ企業に対して利益になるかということもプレゼンしながら,産業分野としてのリハビリテーションを展開していく必要があると考えられる。
【理学療法学研究としての意義】今回,産業分野としてのリハビリテーションの意義を,当院での実状を踏まえ考察した。対患者の理学療法だけでなく,病院職員さらには職業を行っている全ての人に対して,理学療法を展開し,職業分野をさらに広げていくことが重要であると考える。