[P2-C-0398] 若年肺動脈性肺高血圧患者に対する運動および生活指導の経験
Keywords:肺動脈性肺高血圧症, 運動負荷試験, 運動指導
【目的】
近年,強力な肺動脈拡張薬が登場し,肺動脈性高血圧症(以下,PAH)患者の生命予後は著しく改善した。呼吸困難の軽減や運動耐容能改善,QOL向上が求められるようになったが,運動処方等の包括的なプログラムはまだ確立していない。今回,急性期における運動負荷試験と運動・生活指導を行った若年PAH患者を経験したので報告する。
【症例提示】
20歳代男性。身長160.0cm,体重46.0kg。2014年6月,労作時の息切れ,呼吸困難感および胸痛を主訴に当院受診。PAH,Eisenmenger症候群,心内膜床欠損症術後の診断にて入院加療となった。職業は美容師。通勤経路に100mの坂道あり。
入院時所見[胸部X線]CTR:61%,[血液検査]BNP:583pg/ml,[UCG]LVEF:42%,左室壁運動:diffuse hypokinesis,LVDd/Ds:44/31mm,右心系著明に拡大,IVC拡大・collapsing不良,MR mild,TR severe,TRPG:100.2mmHg
【経過と考察】
第2病日より肺動脈拡張薬開始。第5病日のUCGにてTRPG:74.9mmHgへ改善あり。同日より理学療法開始,主治医の指示に基づき2.0Metsの歩行から適宜運動負荷試験を進め,有酸素運動等の運動指導を行った。在宅酸素療法(以下,HOT)導入のため,酸素1L投与下にて第8病日に階段昇降(4.0Mets),第12病日に坂道歩行(3.3~5.0Mets)の運動負荷試験を施行した。HR:140bpm台まで上昇あり,軽度の呼吸困難および胸痛の訴えが聞かれた。第13病日に心肺運動負荷試験を施行した。end pointは呼吸困難であり,AT:3.2Mets,peak:4.1Metsであった。これらの結果に基づき運動・生活指導を行い,第14病日に自宅退院,復職に至った。
運動負荷試験に基づいた運動指導を急性期から行うことで,安全に身体活動量を増加でき,deconditioningの予防・改善につながった。また,ATレベルを超える活動に際してはHOTを装着すること,休憩を挟むことを指導できた。これらにより早期の退院および安全な復職につながったと考える。
近年,強力な肺動脈拡張薬が登場し,肺動脈性高血圧症(以下,PAH)患者の生命予後は著しく改善した。呼吸困難の軽減や運動耐容能改善,QOL向上が求められるようになったが,運動処方等の包括的なプログラムはまだ確立していない。今回,急性期における運動負荷試験と運動・生活指導を行った若年PAH患者を経験したので報告する。
【症例提示】
20歳代男性。身長160.0cm,体重46.0kg。2014年6月,労作時の息切れ,呼吸困難感および胸痛を主訴に当院受診。PAH,Eisenmenger症候群,心内膜床欠損症術後の診断にて入院加療となった。職業は美容師。通勤経路に100mの坂道あり。
入院時所見[胸部X線]CTR:61%,[血液検査]BNP:583pg/ml,[UCG]LVEF:42%,左室壁運動:diffuse hypokinesis,LVDd/Ds:44/31mm,右心系著明に拡大,IVC拡大・collapsing不良,MR mild,TR severe,TRPG:100.2mmHg
【経過と考察】
第2病日より肺動脈拡張薬開始。第5病日のUCGにてTRPG:74.9mmHgへ改善あり。同日より理学療法開始,主治医の指示に基づき2.0Metsの歩行から適宜運動負荷試験を進め,有酸素運動等の運動指導を行った。在宅酸素療法(以下,HOT)導入のため,酸素1L投与下にて第8病日に階段昇降(4.0Mets),第12病日に坂道歩行(3.3~5.0Mets)の運動負荷試験を施行した。HR:140bpm台まで上昇あり,軽度の呼吸困難および胸痛の訴えが聞かれた。第13病日に心肺運動負荷試験を施行した。end pointは呼吸困難であり,AT:3.2Mets,peak:4.1Metsであった。これらの結果に基づき運動・生活指導を行い,第14病日に自宅退院,復職に至った。
運動負荷試験に基づいた運動指導を急性期から行うことで,安全に身体活動量を増加でき,deconditioningの予防・改善につながった。また,ATレベルを超える活動に際してはHOTを装着すること,休憩を挟むことを指導できた。これらにより早期の退院および安全な復職につながったと考える。