第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター7

内部障害/循環2

2015年6月6日(土) 16:10 〜 17:10 ポスター会場 (展示ホール)

[P2-C-0398] 若年肺動脈性肺高血圧患者に対する運動および生活指導の経験

宮地竜也1, 長谷川哲也1, 松井裕人1, 千葉公太1, 大場理恵子1, 岡本賢太郎1, 岩澤孝昌2 (1.公益社団法人地域医療振興協会横須賀市立うわまち病院リハビリテーション科, 2.公益社団法人地域医療振興協会横須賀市立うわまち病院循環器科)

キーワード:肺動脈性肺高血圧症, 運動負荷試験, 運動指導

【目的】
近年,強力な肺動脈拡張薬が登場し,肺動脈性高血圧症(以下,PAH)患者の生命予後は著しく改善した。呼吸困難の軽減や運動耐容能改善,QOL向上が求められるようになったが,運動処方等の包括的なプログラムはまだ確立していない。今回,急性期における運動負荷試験と運動・生活指導を行った若年PAH患者を経験したので報告する。
【症例提示】
20歳代男性。身長160.0cm,体重46.0kg。2014年6月,労作時の息切れ,呼吸困難感および胸痛を主訴に当院受診。PAH,Eisenmenger症候群,心内膜床欠損症術後の診断にて入院加療となった。職業は美容師。通勤経路に100mの坂道あり。
入院時所見[胸部X線]CTR:61%,[血液検査]BNP:583pg/ml,[UCG]LVEF:42%,左室壁運動:diffuse hypokinesis,LVDd/Ds:44/31mm,右心系著明に拡大,IVC拡大・collapsing不良,MR mild,TR severe,TRPG:100.2mmHg
【経過と考察】
第2病日より肺動脈拡張薬開始。第5病日のUCGにてTRPG:74.9mmHgへ改善あり。同日より理学療法開始,主治医の指示に基づき2.0Metsの歩行から適宜運動負荷試験を進め,有酸素運動等の運動指導を行った。在宅酸素療法(以下,HOT)導入のため,酸素1L投与下にて第8病日に階段昇降(4.0Mets),第12病日に坂道歩行(3.3~5.0Mets)の運動負荷試験を施行した。HR:140bpm台まで上昇あり,軽度の呼吸困難および胸痛の訴えが聞かれた。第13病日に心肺運動負荷試験を施行した。end pointは呼吸困難であり,AT:3.2Mets,peak:4.1Metsであった。これらの結果に基づき運動・生活指導を行い,第14病日に自宅退院,復職に至った。
運動負荷試験に基づいた運動指導を急性期から行うことで,安全に身体活動量を増加でき,deconditioningの予防・改善につながった。また,ATレベルを超える活動に際してはHOTを装着すること,休憩を挟むことを指導できた。これらにより早期の退院および安全な復職につながったと考える。