第50回日本理学療法学術大会

Presentation information

ポスター

症例研究 ポスター8

内部障害/呼吸

Sat. Jun 6, 2015 4:10 PM - 5:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-C-0404] 労作時低酸素血症が呼吸リハの制限となったCOPD,塵肺に肺炎を併発した症例

安部諒, 宮村大治郎, 門手和義, 永井勝信, 大黒篤 (自治医科大学附属さいたま医療センター)

Keywords:呼吸リハビリテーション, 運動療法, 肺炎

【目的】
急性期呼吸リハビリテーション(以下,呼吸リハ)においてコンディショニングや筋力強化に加えて早期離床は重要とされている。また,呼吸リハを行う上で,運動時の低酸素血症は重要な問題点の一つである。今回労作時低酸素血症を生じた慢性呼吸不全の急性増悪患者に対し,臥位,座位でのエルゴメーターが運動耐用能改善に寄与した症例を経験したため,報告する。
【症例提示】
69歳男性。51年間,20本/日の喫煙歴。既往歴に塵肺あり(25年間鉛鉱山での勤務歴)。2014年某日,発熱,多量喀痰,呼吸困難を主訴に救急搬送。室内気でSpO276%,胸部CTにて全体的な気腫性変化に加えて右肺野を中心に浸潤影を認めたため,肺気腫,塵肺を背景とした市中肺炎として酸素投与,抗菌薬投与を開始。第3病日CO2ナルコーシスのため意識レベル低下し,気管挿管,人工呼吸器管理。第10病日理学療法開始。医師より,CO2貯留傾向のためSpO2:85%を下限とするよう指示あり。
【経過】
初回時,意識清明。咳嗽強く喀痰は少量。筋力は四肢MMT4レベル。rest-SpO2:91%,端座位-SpO2:85%,立位-SpO2:80%まで低下する状態であったため,ベッド上でのコンディショニングと四肢筋力強化を目的に介入開始。第13病日抜管。15病日炎症反応陰性化したため抗菌薬投与終了したが,依然,端座位,立位時の低酸素血症が初回時と著変なく,酸素指示内では歩行練習が困難だった。そこで,第17病日よりベッド上半臥位でエルゴメーターを開始。第28病日10mの歩行でmin-SpO2:86%,第37病日6分間歩行が450mでmin-SpO2:88%と改善が見られ,第38病日HOT導入にて自宅退院。
【考察】
本症例には低酸素血症とCO2ナルコーシスのリスクが共存していた。コンディショニングや筋力強化運動に加えてベッド上からエルゴメーターを開始することで,慢性呼吸不全に伴う骨格筋異常の是正や臥床による廃用症候群の予防に寄与し,運動耐用能改善へ繋がったと考えられた。