第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター8

内部障害/呼吸

Sat. Jun 6, 2015 4:10 PM - 5:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-C-0407] 呼吸筋トレーニングによって肺機能が改善した漏斗胸の一症例

古賀秀作1, 金子秀雄2 (1.高木病院リハビリテーション部, 2.国際医療福祉大学福岡保健医療学部理学療法学科)

Keywords:漏斗胸, 呼吸筋トレーニング, 肺機能

【目的】漏斗胸は,前胸壁を形成する胸骨,肋骨および肋軟骨の一部が背側に左右対称性,あるいは非対称性に陥凹する疾患である。漏斗胸による胸部変形は,呼吸機能や心機能に影響を及ぼし,前胸部陥凹度の増強に伴い拘束性変化が強く呼吸循環器症状を伴うと矯正手術が施行されることが多い。そのため,手術療法の治療効果の報告は散見されるが,理学療法のみの治療効果の報告は少ない。今回,通常の理学療法に吸気筋トレーニングを加え実施したところ,肺機能が改善することが可能であったためここに報告する。
【症例提示】30歳代後半で痩せ形の女性。診断名は漏斗胸(GradeII)。既往歴はマイコプラズマ肺炎。現病歴は,2014年5月に感冒罹患し,その後咳嗽は落ち着いたが息苦しさのみ残存したため2014年6月上旬に当院受診し,6月中旬より外来での理学療法開始となる。評価項目は,mMRCスケール,肺機能検査,呼吸運動評価スケール,呼吸筋力(MIP,MEP),握力,下肢筋力,ISWTを理学療法開始時と終了時に測定を行った。
【経過と考察】理学療法は1回40分,月3回を12週間施行した。理学療法の内容は,胸郭可動域運動,呼吸筋トレーニング,有酸素運動であった。胸郭可動域運動は徒手的に実施した。呼吸筋トレーニングにはThresholdIMTを用い,負荷レベルは最大吸気筋力の30%とし,自主訓練の指導も行った。また,有酸素運動は自転車エルゴメーターを使用し,peakVO2の60%から開始した。測定結果は,mMRCスケール,肺機能,呼吸筋力,ISWTの改善が見られた。しかし,その他の呼吸運動評価スケール,握力,下肢筋力の改善は見られなかった。先行研究では,呼吸筋力の低下が広範囲であると肺活量が減少するとの報告があり,本症例の結果は,呼吸筋力トレーニングを自宅で自主訓練として継続が行えたことにより,呼吸筋の筋力が改善し胸郭コンプライアンスの改善に伴い肺機能の改善が見られた可能性があると考える。