[P2-C-0420] 維持期脳卒中片麻痺者に対する1か月間の杖操作促進課題を付加した歩行練習が歩行速度および歩数に及ぼす即時的効果の検討
Keywords:維持期, 脳卒中, 杖歩行
【目的】
本研究の目的は,1か月間,通所リハで杖操作促進課題を付加した歩行練習を実施した維持期脳卒中者の経過をとおして,杖操作促進課題を伴う歩行練習が歩行速度および歩数に及ぼす即時的効果を検討することとした。
【症例提示】
70歳,男性,平成15年1月に脳出血右片麻痺を発症し,自宅退院後,平成24年6月より2回/週の通所リハを継続していた。平成26年8月の時点では,Brunnstrom stage右上肢V,右下肢II,右上下肢表在感覚軽度鈍麻,右上下肢深部感覚重度鈍麻,歩行は短下肢装具を用いたT字杖歩行が屋内自立レベルで,5m歩行時間(5m歩数)は通常速度26.1秒(32歩),最大速度22.2秒(29歩),timed up and go test(TUG)は通常速度53.6秒,最大速度45.9秒であった。平成26年8月からの1か月間,週2回の通所リハにて杖操作促進課題を付加した歩行練習(「杖の先端をできるだけ速く直線進行方向へ出してできるだけ速く歩いてください」と教示して行う往復直線歩行)を10分間実施した。毎回の歩行練習実施前と歩行練習実施後において5m歩行時間と5m歩数を測定し,対応のあるt検定を用いて検討した。
【経過と考察】
通所リハでの歩行練習は1か月間で計8回実施した。歩行練習実施後(n=8)は,歩行練習実施前(n=8)に比べて,通常速度および最大速度での5m歩行時間,5m歩数の値が有意に低かった(p<0.05)。最大速度条件下での杖操作促進課題が身体外部への外的焦点に基づく速い杖操作リズムを形成し,そのリズムに付随して後続する下肢の踏み出しが促進され,即時的な歩行速度向上効果が得られたと考えられた。また,8回目の歩行練習実施後では,5m歩行時間(5m歩数)は通常速度20.2秒(22歩),最大速度15.1秒(21歩),TUGは通常速度46.5秒,最大速度38.8秒であったことから,即時的効果だけでなく,1か月間の累積的な直線歩行速度改善効果が得られるとともに,TUGのような応用的な歩行課題にも改善効果が波及したと推察された。
本研究の目的は,1か月間,通所リハで杖操作促進課題を付加した歩行練習を実施した維持期脳卒中者の経過をとおして,杖操作促進課題を伴う歩行練習が歩行速度および歩数に及ぼす即時的効果を検討することとした。
【症例提示】
70歳,男性,平成15年1月に脳出血右片麻痺を発症し,自宅退院後,平成24年6月より2回/週の通所リハを継続していた。平成26年8月の時点では,Brunnstrom stage右上肢V,右下肢II,右上下肢表在感覚軽度鈍麻,右上下肢深部感覚重度鈍麻,歩行は短下肢装具を用いたT字杖歩行が屋内自立レベルで,5m歩行時間(5m歩数)は通常速度26.1秒(32歩),最大速度22.2秒(29歩),timed up and go test(TUG)は通常速度53.6秒,最大速度45.9秒であった。平成26年8月からの1か月間,週2回の通所リハにて杖操作促進課題を付加した歩行練習(「杖の先端をできるだけ速く直線進行方向へ出してできるだけ速く歩いてください」と教示して行う往復直線歩行)を10分間実施した。毎回の歩行練習実施前と歩行練習実施後において5m歩行時間と5m歩数を測定し,対応のあるt検定を用いて検討した。
【経過と考察】
通所リハでの歩行練習は1か月間で計8回実施した。歩行練習実施後(n=8)は,歩行練習実施前(n=8)に比べて,通常速度および最大速度での5m歩行時間,5m歩数の値が有意に低かった(p<0.05)。最大速度条件下での杖操作促進課題が身体外部への外的焦点に基づく速い杖操作リズムを形成し,そのリズムに付随して後続する下肢の踏み出しが促進され,即時的な歩行速度向上効果が得られたと考えられた。また,8回目の歩行練習実施後では,5m歩行時間(5m歩数)は通常速度20.2秒(22歩),最大速度15.1秒(21歩),TUGは通常速度46.5秒,最大速度38.8秒であったことから,即時的効果だけでなく,1か月間の累積的な直線歩行速度改善効果が得られるとともに,TUGのような応用的な歩行課題にも改善効果が波及したと推察された。