第50回日本理学療法学術大会

Presentation information

ポスター

調査研究 ポスター5

院内の取り組み

Sat. Jun 6, 2015 4:10 PM - 5:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P2-C-0458] 科学的根拠に基づいた医療の創設を目指す回復期リハビリテーション病院の取り組み

井上靖悟1, 大高洋平1,2, 山口智史1,2, 小宅一彰1, 大須理英子3, 田中悟志4, 倉山太一1,5, 坂田祥子1, 補永薫1, 近藤国嗣1 (1.東京湾岸リハビリテーション病院, 2.慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室, 3.国際電気通信基礎技術研究所, 4.浜松医科大学医学部心理学教室, 5.千葉大学医学研究院)

Keywords:理学療法, 回復期, Evidence based medicine

【目的】
科学的根拠に基づいた医療(以下,EBM)の創設を目指す当回復期病院における取り組みと課題を紹介し,臨床現場における理学療法の研究活動のあり方を考察する。
【活動報告】
当院は開設8年目の回復期病院(160床)であり,医療スタッフ数は179名(内PT46名)である。当院の理念として「EBMの提供,科学的根拠を作り出す医学の実践」を掲げており,研究活動を積極的に推進している。三次元動作解析装置,床反力計,磁気刺激装置,脳機能画像装置,呼気ガス分析装置など豊富な研究機器を有している。大学や研究機関の研究者に施設を解放し,オープンラボ化し,当院スタッフと共同で研究することで臨床家と研究者を繋ぎ,EBMを作り出す場を設けている。また,臨床教育の一貫として研究を取り入れ,入職早期より客観的な数値を用いた臨床実践や症例検討会を行っている。結果,研究成果として,開院当初は学会発表数,論文掲載数が25件,16件であったのに対し,昨年度は55件,24件と着実に増えている。また,病院で勤務しながら大学院へ通うことができる制度を整え,スタッフ自身のキャリアアップをサポートし,現在10名が進学している。
【考察】
臨床病院でありながら,同時に研究活動を積極的に実践することで研究成果は着実に増えている。一方で,研究から得らえた知見が,臨床に十分には還元されているとは言えない。その原因のひとつとして,研究の実現性から,どうしても研究テーマが実験的研究になりやすく,必ずしも臨床に直結したテーマではないことが挙げられる。臨床に還元できる知見を創出するには,より臨床現場に即したテーマの研究に積極的に取り組んでいくことが必要である。
【結論】
“使える”EBMを創出するためには,研究者と臨床家が協力した上に,いかに臨床に即したテーマに取り組むかが必要となる。そのためには,臨床現場ならではの発想から研究に取り組むことが重要である。