第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

調査研究 ポスター8

地域住民への取り組み

2015年6月7日(日) 09:40 〜 10:40 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-A-0818] 山間部小学生における運動促進を目的とした介入の体力・活動量の向上への効果

体力低値群に着目して

岸田智行, 桝井健吾, 山口剛司, 赤尾静香, 松本大輔 (畿央大学健康科学部理学療法学科)

キーワード:小学生, 体力, 山間部

【目的】
文部科学省によると,近年,小学生の体力低下は著しいと言われている。体力低下の原因として,遊び場の減少や少子化による仲間の減少が関連し,特に山間部の児童は,体力低下のリスクが高いと考えられる。そこで,本研究の目的は山間部の小学生を対象に運動促進を目的とした介入による体力・活動量向上への効果および体力低下に関連する要因を検討することとした。
【方法】
象は奈良県山間部小学生4・5年生28名とした。評価項目は新体力テスト(握力,立ち幅跳び,20mシャトルラン,ボール投げ)と運動や生活習慣に関するアンケートを実施した。介入として,初期評価の結果を担任,体育主任,校長にフィードバックし,児童へ運動の重要性に関する授業を実施した。さらに,児童はバス通学であるため,学校内での運動を促すために,休み時間を変更(10分ごとの休憩を調整し,20分休みを入れる)した。6ヶ月後に最終評価に加え,保護者に子どもとの関わりに関するアンケートを実施した。
統計解析は,介入効果の検討に対応のあるt検定を用いた。また,初期評価で特に全国平均値から低下が認められた20mシャトルランに着目し,体力点数5点以下を体力低値群,6点以上を体力高値群の2群に分け,Mann-Whitney U検定,カイ二乗検定を用いて分析した。
【結果と考察】
初期に比べ最終評価において両群ともに全ての項目で有意な向上が認められ(P<0.01),それは全国での1年間の伸び幅より高値であった。また,低値群では1日の運動時間で有意に向上した(P<0.05)。保護者アンケートでは,両群間に有意差はなかったが,全体で近隣に遊び場ないという回答が88.5%を占めた。特に体力低下のリスクの高い山間部において学校を中心とした本介入が大幅な体力向上につながり,理学療法士が学校保健に関わる可能性が示唆された。