第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター9

地域包括ケア

Sun. Jun 7, 2015 9:40 AM - 10:40 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-A-0828] 家族の意向が自宅退院に及ぼす影響

回復期リハビリテーション病棟の転帰先結果からの報告

岩﨑武史 (医療法人全心会伊勢慶友病院)

Keywords:家族, 回復期, 在宅復帰率

【目的】
回復期リハビリテーション病棟(以下回復期病棟)では在宅復帰率が施設基準の要件の一つである。当院では回復期病棟入棟患者の予定転帰先から今後の在宅復帰率を推定し,病棟運営の一助としている。予定転帰先の検討因子として退院後の患者を支える家族の意向が与える影響は大きい。本研究は家族が患者の自宅退院を回復期病棟入棟時に希望し,その希望通りに自宅退院に至った症例数及び在宅復帰率を明らかにするために行った。
【方法】
対象は平成25年5月1日から平成26年10月30日までに当院回復期病棟を退棟した患者188名。死亡6名,急性期病院への転院12名は除外した。内訳は男性49名,女性139名。平均年齢80.0±9.4歳,発症から入棟までの平均期間23.6±17.4日,脳血管疾患44名,運動器疾患130名,廃用症候群14名。入棟時日常生活機能評価平均点数6.7±4.3点,リハビリテーション実施平均単位数4.5±1.8単位,退棟時日常生活機能評価平均点数2.7±4.5点。希望転帰先は看護師がキーパーソンとなる家族の意向を回復期病棟入棟時に聴取したものとし,その希望転帰先と退棟時転帰先との比較を行った。
【結果と考察】
自宅退院を希望した家族は188名中168名(89.3%)で,転帰先の内訳は自宅145名(86.3%),施設(老健除く)9名(5.4%),老健11名(6.5%),病院3名(1.8%)であった。また回復期病棟を退棟した188名の在宅復帰率は87.2%で自宅147名,施設(老健除く)17名,老健18名,病院6名であった。回復期病棟退棟患者188名のうち145名77.1%が家族の希望通り自宅退院に至ったことがわかった。対象期間の在宅復帰率はこれより約10%高く,これは老健を除いた施設へ退院する17名が在宅復帰率を押し上げている。これには退院調整を行なう看護師,MSWの役割は大きく,地域の社会資源を把握し退院支援に臨む必要があると考えられる。本研究結果は回復期病棟だけでなく,在宅復帰率をアウトカム指標とする他の病棟運営にも役立つものと考えられる。