第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター15

運動器/膝関節

Sun. Jun 7, 2015 9:40 AM - 10:40 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-A-0843] 広範な膝関節びまん型色素性絨毛結節性滑膜炎の理学療法を経験して

栗田慎也 (東京都保健医療公社荏原病院)

Keywords:色素性絨毛結節性滑膜炎, 膝関節伸展, 職場復帰

【目的】
色素性絨毛結節性滑膜炎とは滑膜に絨毛状,結節状の腫瘤をきたし,出血を繰り返す原因不明な極めて稀な疾患である。国内でのリハビリテーションにおける報告はほとんどなく,医師の報告論文も少ない。その中でも本症例ほど広範に滑膜の増殖を認めた例は報告されていない。そのため,本症例の経過を報告する。
【症例提示】
20代女性。バーテンダー。BMI21.1(標準)
平成26年7月14日仕事後,右膝に急激な激痛あり。様々な医療機関を受診したが診断つかず,8月15日当院にて右膝びまん型色素性絨毛結節性滑膜炎の診断。
8月17日手術目的にて当院入院。(入院時膝関節屈曲90°伸展-30°JKOM75点)
8月18日,関節鏡下関節滑膜切除術施行(PFjt・FTjt・ACL・PCL・PTB・内側後方関節包に褐色滑膜癒着あり切除)
【経過と考察】
術後3日より理学療法開始。安静度は歩行可JKOM47点。膝関節屈曲45°伸展-20°MMT大腿四頭筋2-。疼痛部位は膝全体。膝蓋骨の可動性は全方向に制限。
術後5日に独歩獲得。
術後19日に自宅退院。外来リハビリーションへ移行(頻度:2回/週)JKOM36点。膝関節屈曲110°伸展-5°MMT大腿四頭筋3。疼痛部位は膝蓋上嚢,膝蓋腱,腓腹筋起始部
術後44日に仕事復帰JKOM18点。膝関節屈曲140°伸展-5°MMT大腿四頭筋4-
広範な滑膜増殖のためか,症例は理学療法開始日から疼痛部位が明確でなく,膝全体の疼痛の訴えがみられ,退院時まで詳細な疼痛部位の訴えが困難であった。
また,術前に膝関節屈曲位での歩行・動作を長期間強いられたことから膝蓋骨の可動性低下や内側広筋の萎縮が認められた。
そのため,腫脹の軽減,生理的関節運動の再獲得,セッティング練習を中心とした筋力強化を十分に実施し,術後6週にて立ち仕事への復帰が可能となった。
本疾患は,再発率が高く,変形性膝関節症を引き起こすとされているが,理学療法介入現在11週の経過では再発や悪化の症状は認められていない。