第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター16

運動器/足関節・足部

Sun. Jun 7, 2015 9:40 AM - 10:40 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-A-0844] 足関節捻挫患者の片脚立位不安定性

一症例の受傷前後比較および理学療法経過報告

今井覚志1,2, 橋本健史3, 松本秀男1 (1.慶應義塾大学スポーツ医学総合センター, 2.慶應義塾大学リハビリテーション科, 3.慶應義塾大学スポーツ医学研究センター)

Keywords:足関節捻挫, 立位バランス, 理学療法

【目的】足関節捻挫の受傷前後で片脚立位バランスを評価することができた一症例から,立位不安定性の特徴および理学療法の効果を検証する。
【症例提示】症例は36歳男性,歩行時に受傷し,骨折は認めないが,外側靭帯,前脛腓靭帯および三角靭帯の損傷が疑われた。受傷後1週間は完全免荷でギプス固定とし,2週目より部分荷重,3週目にギプスシャーレ,4週で補装具なしの独歩とした。本症例は受傷の約1年前に,30秒間の片脚立位について,足圧中心の動揺量および下腿筋群の筋活動を評価していた。
【経過と考察】理学療法は,受傷後2週目より足趾運動,3週目より足関節の自動運動を開始した。全荷重が許可された受傷後4週目から,タオルギャザー,バランスディスク,つま先立ち,スクワット運動を追加し,10週目で疼痛なくジョギングが可能となった。片脚立位の評価は,疼痛なく立位が可能となった受傷後5週目に,受傷前と同様の方法で測定した。その後,7週目および11週目に再評価を行った。結果について受傷前の患者自身および6名の健常者のデータとあわせて比較検討した。
受傷前の本症例は,他の健常者と比較して動揺量と筋活動量が多い傾向にあった。受傷後5週目の本症例は受傷前および健常者と比較して,前後方向の軌跡長と前脛骨筋の活動量が2倍以上増加し,腓腹筋とヒラメ筋の筋活動は1.6倍程度増加した。一方,左右方向の軌跡長,動揺の面積には顕著な差を認めなかった。受傷後7週目の評価において,増加していた筋活動量は受傷前と同レベルまで減少したが,動揺量には変化(改善)を認めなかった。ジョギングが可能となった受傷後11週目の評価においても,動揺量の改善を認めなかった。
これら本症例の経過から,重度の足関節捻挫よって悪化した立位の不安定性は,神経-筋制御機構の破綻を伴っており,このメカニズムの改善を目的とした理学療法が必要であると考える。