第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター17

運動器/脊椎

2015年6月7日(日) 09:40 〜 10:40 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-A-0851] 頸椎後縦靭帯骨化症を呈した症例のfunctional activity limitationに着目した運動療法の直後効果

高岡克宜1, 田野聡1, 田岡祐二1, 鶯春夫2 (1.橋本病院リハビリテーション部, 2.徳島文理大学保健福祉学部理学療法学科)

キーワード:頸椎後縦靭帯骨化症, functional activity limitation, 肩甲上腕関節

【目的】
頸椎後縦靭帯骨化症(OPLL)により軽度の不全麻痺を呈した症例のfunctional activity limitation(FAL)に着目した運動療法の直後効果について報告する。
【症例提示】
60代男性。診断名はC4-6OPLL(保存療法)。職業は理容師。FALは散髪中に右手でくしを使用して髪の毛を取りにくい。現病歴は数年前より力が出にくい等の症状が出現し薬物療法等を行っていたが徐々に力を発揮しにくくなったため,平成26年3月より週1回の外来運動器リハ開始となる。ADLは自立,下肢運動障害や膀胱直腸障害は認めない。筋力は握力右26.0kg,左35.1kg,MMTにて右肩関節外旋,前腕回外が3レベルと著明に低下していた。ROM-T,感覚検査,深部腱反射ともにほぼ正常であったが,前腕回内筋群の筋緊張が軽度亢進していた。FALに対するoutcome measureは,右上肢にて髪の毛をくしで取る動作を疑似的に再現するため,右肩関節を3rdpositionで保持し,出来るだけ早く正確に30秒間前腕回内外を行わせその回数を治療前後に計測した。なお,その動作はビデオ撮影し,肘頭とベッド間距離を測定した他,左右肩甲帯の高さや最大回内外時の動作の正確さを評価した。動作の分析から治療対象を肩甲上腕関節の安定化と仮説を立て,肩関節外旋筋群に焦点を当てた運動療法を20分間行った。
【経過と考察】
前腕回内外の回数は治療前21回→治療後18回であり動作速度は遅くなったが,肘頭とベッド間距離は治療前14cm→治療後28cm,治療前に起こっていた過剰な肩甲帯の挙上や前腕回内外の正確さは改善した。上肢を空間で使用する際の安定化機構は骨構造体よりも軟部組織に依存することが多く,腱板構成筋群を中心とした運動療法が必要であると考える。今回,OPLLを呈した症例のFALに着目した運動療法の直後効果を検討した結果,肩関節外旋筋群に焦点を当てた20分間の運動療法は効果的な側面があることが示唆された。