[P3-A-0971] 運動器疾患疼痛患者へのホームエクササイズ指導に関わる要因についての検討
キーワード:ホームエクササイズ, 外来理学療法, アンケート調査
【はじめに,目的】外来理学療法において,ホームエクササイズ(以下:HE)を指導することは重要であるが,患者を取り巻く様々な要因が絡む理由で,指導内容を完遂できることは多くない。特に,長期に渡り疼痛を有する運動器疾患患者では,疼痛が及ぼす心理的影響や生活・就労環境要因などにより,HEを実施することは難しく,長期に渡り外来理学療法を行うことになる。本研究の目的はHEを指導した外来理学療法患者に対し,日常生活面と性格面に関するアンケート調査を行い,HEの運動効果がどのような項目と関連があるのかを明らかにするものである。
【方法】対象者は,平成26年6月~7月の2ヶ月において,大分県A市の整形外科クリニックへ外来理学療法に通院した患者55名にHEを指導し,次回の通院時にアンケート調査の回答ができた50名(平均年齢69±11.19歳)であった。対象者の疾患内訳は肩関節周囲炎12名,非特異的腰痛16名,変形性膝関節症22名で,疼痛が継続的に残存する病態であった。HEは,各疾患に対しストレッチを中心とした内容を指導し,1日2回毎日行うように伝えた。アンケート調査は,日常生活(必需行動:睡眠・食事,拘束行動:仕事・家事,自由行動:趣味・休憩)に対する項目と,性格(外向性,協調性,勤勉性,情緒安定性,知的好奇心)に対する項目を調査した。性格項目に対するアンケートは,主要5因子性格検査を用いた。統計解析は,2群の差を比較するために,対応の無いt検定を用いた。データ解析は,SPSS Statistics21を用いて,有意水準5%で検定を行った。
【結果】アンケートを回答した50名の中でHEを行った43名を対象とし,HEを実施し運動効果が認められた群(効果有り群)20名,HEを実施し運動効果が認められなかった群(効果無し群)23名に分類した。効果有り群は日常生活項目において効果無し群より拘束行動(P<0.01)が有意な低値を示した。また,性格項目において勤勉性(P<0.01),知的好奇心(P<0.01)が有意に高値を示した。その他の項目においては,有意差は認められなかった。
【考察】研究結果より,HEの運動効果は,患者の日常生活や性格特性に影響されることが明らかになった。特に,効果有り群は効果無し群より拘束行動が少なく,勤勉性,知的好奇心が高いことが認められた。Weinbergら(1999)は,運動を施行する制限として,時間が無いこと,動機づけが無いことを理由として挙げている。これらから,HEの実施状況は同じであっても,運動効果は,患者自身が指導されたHEを正確に再現する能力や有効性の理解度が関係すると推察された。HE効果の実感は,その後のHEの継続性に関係することが報告されており重要であると考えられる。これらから理学療法士がHEを指導する際には,患者の日常生活や性格特性に合わせ工夫した指導内容の配慮が必要であり,その後のフォローも必要であると考えられる。本研究では,アンケート調査による介入が,患者のHEに対する動機づけを強くしたことが推察される。これらから,アンケート調査は短期間において外来理学療法患者の行動を変容させる効果があることが示唆された。今回は短期間の研究であった為,その後のHEの継続性まで確認することは出来なかったので,今後は長期的な介入で症例数を増やし,より細分化したHEの指導方法を検討していきたい。
【理学療法学研究としての意義】外来理学療法において,患者に対するHEの運動効果は患者の日常生活と性格特性に影響を受ける可能性が示唆されたことに本研究の意義があると考えた。今後,患者に合わせたHEの指導方法が実施状況や運動効果の向上につながることを期待する。
【方法】対象者は,平成26年6月~7月の2ヶ月において,大分県A市の整形外科クリニックへ外来理学療法に通院した患者55名にHEを指導し,次回の通院時にアンケート調査の回答ができた50名(平均年齢69±11.19歳)であった。対象者の疾患内訳は肩関節周囲炎12名,非特異的腰痛16名,変形性膝関節症22名で,疼痛が継続的に残存する病態であった。HEは,各疾患に対しストレッチを中心とした内容を指導し,1日2回毎日行うように伝えた。アンケート調査は,日常生活(必需行動:睡眠・食事,拘束行動:仕事・家事,自由行動:趣味・休憩)に対する項目と,性格(外向性,協調性,勤勉性,情緒安定性,知的好奇心)に対する項目を調査した。性格項目に対するアンケートは,主要5因子性格検査を用いた。統計解析は,2群の差を比較するために,対応の無いt検定を用いた。データ解析は,SPSS Statistics21を用いて,有意水準5%で検定を行った。
【結果】アンケートを回答した50名の中でHEを行った43名を対象とし,HEを実施し運動効果が認められた群(効果有り群)20名,HEを実施し運動効果が認められなかった群(効果無し群)23名に分類した。効果有り群は日常生活項目において効果無し群より拘束行動(P<0.01)が有意な低値を示した。また,性格項目において勤勉性(P<0.01),知的好奇心(P<0.01)が有意に高値を示した。その他の項目においては,有意差は認められなかった。
【考察】研究結果より,HEの運動効果は,患者の日常生活や性格特性に影響されることが明らかになった。特に,効果有り群は効果無し群より拘束行動が少なく,勤勉性,知的好奇心が高いことが認められた。Weinbergら(1999)は,運動を施行する制限として,時間が無いこと,動機づけが無いことを理由として挙げている。これらから,HEの実施状況は同じであっても,運動効果は,患者自身が指導されたHEを正確に再現する能力や有効性の理解度が関係すると推察された。HE効果の実感は,その後のHEの継続性に関係することが報告されており重要であると考えられる。これらから理学療法士がHEを指導する際には,患者の日常生活や性格特性に合わせ工夫した指導内容の配慮が必要であり,その後のフォローも必要であると考えられる。本研究では,アンケート調査による介入が,患者のHEに対する動機づけを強くしたことが推察される。これらから,アンケート調査は短期間において外来理学療法患者の行動を変容させる効果があることが示唆された。今回は短期間の研究であった為,その後のHEの継続性まで確認することは出来なかったので,今後は長期的な介入で症例数を増やし,より細分化したHEの指導方法を検討していきたい。
【理学療法学研究としての意義】外来理学療法において,患者に対するHEの運動効果は患者の日常生活と性格特性に影響を受ける可能性が示唆されたことに本研究の意義があると考えた。今後,患者に合わせたHEの指導方法が実施状況や運動効果の向上につながることを期待する。