[P3-A-1085] 特定高齢者における定期的な運動継続の効果検証
~健康寿命日本一を目指して~
キーワード:介護予防教室, 心理的効果, 身体機能維持
【はじめに,目的】
平成19年度より自治体主導の「特定高齢者介護予防教室」(以下教室)が開始となり7年目となる。教室自体は1クール4ヶ月で終了するが,当施設ではその後も有志が主体となり施設主導の教室(以下,元気はつらつ会)を開催・継続している。今回,定期的な運動の継続による身体機能的・心理的効果を検証したので報告する。
【方法】
対象は平成26年7月現在,元気はつらつ会に参加されている44名(男性7名,女性37名:平均年齢80.5±4.45歳)であり,運動継続期間は6年6ヶ月~4ヶ月(平均3年10か月)である。
参加者44名に対してアンケート調査と身体機能評価①functional reach test,②Timed up&Go test,③握力の評価を行い,教室参加初日に行った評価と比較し検証した。但し,身体機能評価は初回のデータが信頼できるもののみを有効とし,39名とする。
【結果】
アンケート調査に関しては「参加して良かったか?」「体調はどうか?」「精神的には変化があったか?」という問いに10段階で回答してもらい,3問とも全員が4点以上で,8点以上を付けた利用者が半数以上であった。
また,「新しい仲間が増えた。」「気持ちが明るくなった。」など精神面の改善を効果として挙げた利用者が8割を占め,運動だけではなく他者とのコミュニケーションに対するニーズの高さがうかがえる。
身体機能評価に関しては①functional reach testにおける(変化なし~改善)が80.5%と大きく効果を示したものの,②Timed up&Go testでは39%,③握力では51.3%と顕著な改善は認められなかった。
【考察】
今回,定期的な運動が心理面,身体機能面に及ぼす影響について検証した。現在,月曜日~金曜日(水曜日を除く)の4グループで13時~15時の2時間「元気はつらつ会」を開催しており,当施設の理学・作業療法士1名,介護福祉士1名が担当として介入している。当日の流れはバイタル計測,リラクゼーション,準備体操,マシンを使用したパワーリハ,休憩,レクリエーション,フリータイム(談話)というプログラムで進行している。
今回行った調査(アンケート調査と身体機能評価)の結果より,活動性の改善よりも心理的効果が大きく認められた。また,機能維持のためには定期的な運動の必要性について全員が認めており,今後も継続を希望している。
身体機能評価に関しては計測日の体調や計測者の手技にばらつきがあり,今後は手技や説明内容を統一するということで精度を高めていく必要性を強く感じた。もともと運動に対する意欲が高く社交的な利用者が多いこともあるが,高齢者で数年を経過しても機能が維持できていること自体が教室の効果であると考える。
現在,自治体主導の教室が終了した後には参加者の多くが元の生活に戻ってしまい定期的な運動の継続は困難である。今回の調査で利用者のニーズと効果が明確になったことから,自治体も含めて定期的な運動が継続できるように環境を整備する努力が必要であると痛感した。
【理学療法学研究としての意義】
介護予防の分野において理学療法士が専門性をどう活かすべきか,今までは理学療法のおよそ対象外であった自立高齢者に対してデータを集積・分析することによる効果的なプログラム作成や運動の動機付けとして,理学療法士の必要性は非常に高いと考える。
平成19年度より自治体主導の「特定高齢者介護予防教室」(以下教室)が開始となり7年目となる。教室自体は1クール4ヶ月で終了するが,当施設ではその後も有志が主体となり施設主導の教室(以下,元気はつらつ会)を開催・継続している。今回,定期的な運動の継続による身体機能的・心理的効果を検証したので報告する。
【方法】
対象は平成26年7月現在,元気はつらつ会に参加されている44名(男性7名,女性37名:平均年齢80.5±4.45歳)であり,運動継続期間は6年6ヶ月~4ヶ月(平均3年10か月)である。
参加者44名に対してアンケート調査と身体機能評価①functional reach test,②Timed up&Go test,③握力の評価を行い,教室参加初日に行った評価と比較し検証した。但し,身体機能評価は初回のデータが信頼できるもののみを有効とし,39名とする。
【結果】
アンケート調査に関しては「参加して良かったか?」「体調はどうか?」「精神的には変化があったか?」という問いに10段階で回答してもらい,3問とも全員が4点以上で,8点以上を付けた利用者が半数以上であった。
また,「新しい仲間が増えた。」「気持ちが明るくなった。」など精神面の改善を効果として挙げた利用者が8割を占め,運動だけではなく他者とのコミュニケーションに対するニーズの高さがうかがえる。
身体機能評価に関しては①functional reach testにおける(変化なし~改善)が80.5%と大きく効果を示したものの,②Timed up&Go testでは39%,③握力では51.3%と顕著な改善は認められなかった。
【考察】
今回,定期的な運動が心理面,身体機能面に及ぼす影響について検証した。現在,月曜日~金曜日(水曜日を除く)の4グループで13時~15時の2時間「元気はつらつ会」を開催しており,当施設の理学・作業療法士1名,介護福祉士1名が担当として介入している。当日の流れはバイタル計測,リラクゼーション,準備体操,マシンを使用したパワーリハ,休憩,レクリエーション,フリータイム(談話)というプログラムで進行している。
今回行った調査(アンケート調査と身体機能評価)の結果より,活動性の改善よりも心理的効果が大きく認められた。また,機能維持のためには定期的な運動の必要性について全員が認めており,今後も継続を希望している。
身体機能評価に関しては計測日の体調や計測者の手技にばらつきがあり,今後は手技や説明内容を統一するということで精度を高めていく必要性を強く感じた。もともと運動に対する意欲が高く社交的な利用者が多いこともあるが,高齢者で数年を経過しても機能が維持できていること自体が教室の効果であると考える。
現在,自治体主導の教室が終了した後には参加者の多くが元の生活に戻ってしまい定期的な運動の継続は困難である。今回の調査で利用者のニーズと効果が明確になったことから,自治体も含めて定期的な運動が継続できるように環境を整備する努力が必要であると痛感した。
【理学療法学研究としての意義】
介護予防の分野において理学療法士が専門性をどう活かすべきか,今までは理学療法のおよそ対象外であった自立高齢者に対してデータを集積・分析することによる効果的なプログラム作成や運動の動機付けとして,理学療法士の必要性は非常に高いと考える。