[P3-A-1136] 臨床実習における認知領域・精神運動領域の問題の検討
実習評価表を用いて
Keywords:臨床実習, 問題点, 実習前教育
【はじめに,目的】
臨床実習指導者から,患者さんに適した検査測定や治療が出来ないといった報告を受けることもあり,臨床と学内実習内容との較差が少なくない。これらは様々な要素によって引き起こされるものであるが,臨床実習で初めて患者さんと向き合い習得してきた技術を施す際には,疾患や障害に合わせて応用させていかなければならず,困惑することも多い。このため,養成校では臨床実習に即した学内教育が求められる。学生が実習中止・不合格や困惑した状況を回避するためには,実習で問題となる内容を把握して,実習困難場面を踏まえた実習前教育が必要である。
本研究の目的は,学生が実習中に問題となる内容を把握して実習前教育に活かすことである。
【方法】
対象は,4年制課程の3年次理学療法学科の学生29名である。
方法は,①評価実習(3年次9月2週間)及び第1期臨床実習(3年次10月~12月8週間)における実習評価表を用いて総評及び指導者のコメントから,問題と思われる事項と割合について調べた。②不合格学生について総評及び指導者のコメントから,問題と思われる事項と実習内容について調べた。
【結果】
評価実習の問題点として,「統合と解釈が不十分」は11人(37.9%),「評価技術の未熟」が10人(34.4%),「知識不足」が6人(20.6%)であった。不合格学生の問題について,1名は「統合と解釈が不十分」,「知識不足」が問題としてあげられた。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」,「知識不足」が問題だった。1名は「統合と解釈が不十分」,「知識不足」が問題であった。1名は「統合と解釈が不十分」が問題であった。
臨床実習の問題点として,「統合と解釈が不十分」は13人(44.8%),「評価技術の未熟」は9人(31.0%),「知識不足」が7人(24.1%),「リスク管理ができない」が4人(13.7%)であった。不合格学生の問題として,1名は「知識不足」が問題だった。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」が問題であった。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」,「リスク管理ができない」が問題であった。なお評価実習における不合格学生と重複した者はいなかった。
【考察】
臨床実習における認知領域・精神運動領域での問題として,「統合と解釈が不十分」や「評価技術の未熟」が多かった。これは不合格学生にも多く見られた。評価実習及び第1期臨床実習は評価が中心になることは予想されるが,今回の結果から実習指導者は実習生に対して評価内容を重視していることが伺われた。
認知領域は,難易度の低い順に想起・解釈・問題解決の3段階に分類されるが,評価結果を統合・解釈することは,認知領域の上位に占める解釈や問題解決に該当する。このため,学生は複雑な認知領域に慣れていないことが考えられる。また学内では学生同士の健常人相手の練習や動作観察が主であり,疾患に応じた評価や動作観察の機会は乏しい。したがって学内教育においては,臨床場面に即した内容であるOSCEを実施することによって評価内容の統合と解釈や実際に患者を想定した検査練習を行うことが必要と考える。
小宮山ら(小宮山一樹ら,リハビリテーションひろば54, 2014)の臨床実習指導者へのアンケート調査からも理学療法士養成校卒業時の到達度について,基本的評価手技は独立して行える必要があると86%の回答があり,基本的評価手技の実施が一番に求められたと述べている。また,統合と解釈・問題点抽出は独立して行える必要があると32%の回答があり,臨床実習指導者が学生に自立度を求める項目の上位だったと述べている。さらに芳野ら(芳野純ら,リハビリテーション教育研究16, 2011)の報告によれば,臨床実習に必要とされる能力は情意領域に次いで統合と解釈・問題点に関する記載が多く,学内教育において症例基盤型の学習など,より臨床場面に則した内容を実施することや学生に統合と解釈・問題解決能力の重要性を示す必要があると述べている。
以上のことから,実習前教育において,臨床場面を意識した模擬患者を用いた評価・治療を取り入れたOSCEを実施することや評価結果をどのように解釈して治療に結びつけるかといった症例基盤型学習を実施する必要があると考える。
[理学療法研究としての意義]
学生が実習中に問題となる内容を把握することは,実習前の学内指導において非常に重要であり,実習前教育における指導指針を検討する意義のある研究と考える。
臨床実習指導者から,患者さんに適した検査測定や治療が出来ないといった報告を受けることもあり,臨床と学内実習内容との較差が少なくない。これらは様々な要素によって引き起こされるものであるが,臨床実習で初めて患者さんと向き合い習得してきた技術を施す際には,疾患や障害に合わせて応用させていかなければならず,困惑することも多い。このため,養成校では臨床実習に即した学内教育が求められる。学生が実習中止・不合格や困惑した状況を回避するためには,実習で問題となる内容を把握して,実習困難場面を踏まえた実習前教育が必要である。
本研究の目的は,学生が実習中に問題となる内容を把握して実習前教育に活かすことである。
【方法】
対象は,4年制課程の3年次理学療法学科の学生29名である。
方法は,①評価実習(3年次9月2週間)及び第1期臨床実習(3年次10月~12月8週間)における実習評価表を用いて総評及び指導者のコメントから,問題と思われる事項と割合について調べた。②不合格学生について総評及び指導者のコメントから,問題と思われる事項と実習内容について調べた。
【結果】
評価実習の問題点として,「統合と解釈が不十分」は11人(37.9%),「評価技術の未熟」が10人(34.4%),「知識不足」が6人(20.6%)であった。不合格学生の問題について,1名は「統合と解釈が不十分」,「知識不足」が問題としてあげられた。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」,「知識不足」が問題だった。1名は「統合と解釈が不十分」,「知識不足」が問題であった。1名は「統合と解釈が不十分」が問題であった。
臨床実習の問題点として,「統合と解釈が不十分」は13人(44.8%),「評価技術の未熟」は9人(31.0%),「知識不足」が7人(24.1%),「リスク管理ができない」が4人(13.7%)であった。不合格学生の問題として,1名は「知識不足」が問題だった。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」が問題であった。1名は「統合と解釈が不十分」,「評価技術の未熟」,「リスク管理ができない」が問題であった。なお評価実習における不合格学生と重複した者はいなかった。
【考察】
臨床実習における認知領域・精神運動領域での問題として,「統合と解釈が不十分」や「評価技術の未熟」が多かった。これは不合格学生にも多く見られた。評価実習及び第1期臨床実習は評価が中心になることは予想されるが,今回の結果から実習指導者は実習生に対して評価内容を重視していることが伺われた。
認知領域は,難易度の低い順に想起・解釈・問題解決の3段階に分類されるが,評価結果を統合・解釈することは,認知領域の上位に占める解釈や問題解決に該当する。このため,学生は複雑な認知領域に慣れていないことが考えられる。また学内では学生同士の健常人相手の練習や動作観察が主であり,疾患に応じた評価や動作観察の機会は乏しい。したがって学内教育においては,臨床場面に即した内容であるOSCEを実施することによって評価内容の統合と解釈や実際に患者を想定した検査練習を行うことが必要と考える。
小宮山ら(小宮山一樹ら,リハビリテーションひろば54, 2014)の臨床実習指導者へのアンケート調査からも理学療法士養成校卒業時の到達度について,基本的評価手技は独立して行える必要があると86%の回答があり,基本的評価手技の実施が一番に求められたと述べている。また,統合と解釈・問題点抽出は独立して行える必要があると32%の回答があり,臨床実習指導者が学生に自立度を求める項目の上位だったと述べている。さらに芳野ら(芳野純ら,リハビリテーション教育研究16, 2011)の報告によれば,臨床実習に必要とされる能力は情意領域に次いで統合と解釈・問題点に関する記載が多く,学内教育において症例基盤型の学習など,より臨床場面に則した内容を実施することや学生に統合と解釈・問題解決能力の重要性を示す必要があると述べている。
以上のことから,実習前教育において,臨床場面を意識した模擬患者を用いた評価・治療を取り入れたOSCEを実施することや評価結果をどのように解釈して治療に結びつけるかといった症例基盤型学習を実施する必要があると考える。
[理学療法研究としての意義]
学生が実習中に問題となる内容を把握することは,実習前の学内指導において非常に重要であり,実習前教育における指導指針を検討する意義のある研究と考える。