第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

調査研究 ポスター7

地域/在宅

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0809] 地域在住高齢者の転倒に影響をおよぼす要因の相互関連性

―Structure Equation Modeling(SEM)を用いた分析―

小林薫1,2, 柊幸伸1,2, 丸山仁司2 (1.国際医療福祉大学保健医療学部理学療法学科, 2.国際医療福祉大学大学院保健医療学専攻理学療法学分野)

Keywords:転倒, 敏捷性, Structure Equation Modeling(SEM)

【目的】筆者らは,転倒リスクとして転倒歴:Fall history,敏捷性:Agility,下肢筋力:Leg strength,移動:Locomotion,立位バランス:Standing balanceが重要であると考えている。これらの頭文字を並べると「FALLS(転倒)」になり,着目すべき要因として整理できる。本研究の目的は,Structure Equation Modeling(以下SEM)を用いて,転倒に影響をおよぼす各要因がどのように関連しているのかを明らかにすることである。
【方法】対象は地域在住高齢者55名(平均年齢76.1歳)とし,本研究の内容を説明し同意を得た。測定項目は,過去1年間の転倒歴,敏捷性には開閉ステッピングテスト(以下ステッピング),下肢筋力には30-sec Chair stand(以下CS-30),移動には5m最大歩行時間(以下5m歩行)とTimed Up & Go Test(以下TUG),立位バランスにはFunctional Reach(以下FR)を用いた。統計手法は,SEMを用いて分析した(Amos 22.0,有意水準5%)。
【結果と考察】55名中,転倒経験者は9名であった。SEMにより仮説モデルを構築し,分析結果を総合的に勘案した最終モデルを構築した。最終モデルは,構成概念としての移動関連要因はCS-30,5m歩行,TUG,FRとし,移動関連要因はステッピングを介して転倒に影響させた。最終モデルは,統計学的に受容できる適合度(GFI=0.973,AGFI=0.937,RMSEA=0.000)であり,パスも有意であった。転倒に直接影響していた要因はステッピングであり,パス係数は-0.26であった。移動関連要因を構成するCS-30,5m歩行,TUG,FRのパス係数は順に0.57,-0.57,-0.81,0.63であり,移動関連要因からステッピングに対しては0.62であった。本研究では,転倒に影響をおよぼす要因の相互関連性をパス図によりモデル化した。移動関連要因のなかでも,特に敏捷性が転倒に影響することが示唆された。従来の移動関連要因から直接転倒に影響させるモデルではなく,そこに敏捷性を介したことで新しい概念モデルが提案できた。