第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター15

運動器/膝関節

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0841] 右大腿骨顆上骨折後に生じた膝内側部痛に対し,足底挿板療法と装具療法が有効であった一症例

藤森由貴, 唄大輔, 徳田光紀 (社会医療法人平成記念病院リハビリテーション課)

Keywords:大腿骨顆上骨折, 足底挿板療法, 装具療法

【目的】
今回,右大腿骨顆上骨折後に,残存する歩行時膝内側部痛に対し,足底挿板療法と膝外反制動装具療法を併用したことにより疼痛が軽減した理学療法を経験した。足底挿板療法と装具療法の有効性を示すことを目的とし,若干の考察を加え報告する。
【症例提示】
症例は,自宅の庭で転倒し,右膝内側部から地面に衝突して,右大腿骨顆上骨折(AO分類typeA3)を受傷された80歳代の女性である。他院にて受傷後2日で観血的整復固定術を施行され,術後4週時リハビリ目的で当院へ転院,理学療法開始となった。
【経過と考察】
術後4週の初期評価時,右膝関節周囲に炎症症状の残存,右大腿外側軟部組織の柔軟性,伸張性低下を認め,圧痛は腸脛靭帯,外側広筋,内側広筋,内側側副靭帯(以下,MCL)に認めた。関節可動域(以下,ROM)は右膝関節屈曲80°,伸展0°で,extension lag5°であった。外反ストレステストは陽性で,動揺性を認めた。理学療法は,浮腫管理の徹底,右大腿外側軟部組織に対しリラクセーション及びストレッチングを中心に実施した。術後10週の一本杖歩行時に下腿外旋と膝外反が生じる不安定性とvisual analogue scale(以下,VAS)4の膝内側部痛を認めた。knee in-toe outの異常アライメントを呈しており,踵骨の直立化と内側縦アーチ保持目的に足底挿板を作成し,膝外反制動目的に膝装具を作成した。術後15週の評価では,ROMは屈曲95°,extension lag0°まで改善し,圧痛はMCLに残存するも歩行時膝内側部痛はVAS0~1まで改善した。
本症例の歩行時に生じた右膝内側部痛は,受傷時のMCL損傷と,踵骨回内と足部回内によって立脚期にknee in-toe outとなり,MCLに伸張ストレスが加わったことが考えられる。歩行時の足部過回内によって生じる下腿外旋,膝外反を制動し,下腿内旋を誘導する目的で足底挿板と膝外反制動装具を作製したことにより,MCLの伸張ストレスが軽減し,膝内側部痛の軽減につながったと考える。