第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター16

運動器/足関節・足部

Sun. Jun 7, 2015 10:50 AM - 11:50 AM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0845] 距骨脱臼骨折後に背屈可動域制限をきたした一症例

谷口達也, 小野寺智亮, 梅田健太郎, 菅原亮太, 村田聡, 瀬戸川美香 (医療法人徳洲会札幌徳洲会病院整形外科外傷センター)

Keywords:距骨脱臼骨折, 距骨後方滑り, 足関節ROM制限

【目的】
足関節果部骨折や踵骨,舟状骨に骨折を伴わない距骨の完全脱臼骨折は全体の0.1~0.6%とまれであり,本邦では報告が少ない。今回,距骨の癒合状態に合わせながらROM改善を目指した一症例について報告する。
【症例提示】
50代男性,二階の屋根から転落し受傷となり,距骨脱臼骨折(AO:72-C2.2)と診断され,受傷当日に創外固定術が施行された。観血的骨接合術は2回に分けて行われ,1回目は受傷後9日に内果を骨切りし,前内側アプローチにて距骨体部,頭部の骨接合術を施行され,2回目は受傷後16日に外果を骨切りし距骨体部外側の骨軟骨骨片の骨接合術が施行された。
【経過と考察】
後療法は8週免荷,術後より足関節ROM開始の指示であった。術後8週においてエバーステップを装着し1/2PWB開始となり足関節背屈自動0°,他動5°,足関節背屈時には足関節前面にインピンジメントの訴えが聞かれた。MMTは足背屈4,足趾伸展4,で足背屈,足趾伸展時は筋腱の浮き上がりを確認できた。本症例は足背屈,足趾伸展時の筋の収縮が十分に確認された状態でインピンジメント症状は残存しため,距骨の後方滑りの低下と判断しアプローチを開始した。距骨は血行が乏しく無腐性壊死を生じやすいため距骨の後方誘導の際の圧迫は主治医と協議し仮骨が認められた8週より開始した。術後10週よりFWB開始となりテーピングを用いて荷重位での距骨後方滑りの誘導を促した。術後32週では足関節背屈自動10°,他動15°となり距骨の後方滑りは改善しインピンジメント症状も軽減した。独歩や階段昇降,しゃがみ込みも可能となりJSSF scaleでは85/100点,Kenwright-taylorの治療成績評価基準ではGoodとなり距骨の骨壊死の兆候も認められていない。距骨は筋・腱の付着がなく血行も乏しいため距骨に対する負荷量を考慮しなければならないが,本症例においては仮骨形成が認められた時期より開始し12週時点で壊死などの兆候もなく機能回復を図れたため適切な時期に開始できたと考える。