第50回日本理学療法学術大会

講演情報

ポスター

症例研究 ポスター16

運動器/足関節・足部

2015年6月7日(日) 10:50 〜 11:50 ポスター会場 (展示ホール)

[P3-B-0848] 難治性潰瘍に対する予防的手術を施行した症例に対して理学療法を行った一例

阿部翔悟1, 久保雅昭1, 武田直人1, 東田隆治2, 菊池恭太3 (1.横浜総合病院リハビリテーション科, 2.横浜総合病院心臓血管外科, 3.横浜総合病院整形外科)

キーワード:難治性潰瘍, 予防的手術, 二分脊椎

【目的】予防的手術は潰瘍発生の構造的要因を治療しようとするもので潰瘍治療に必要であるにも関わらずまだそれほど行われていない。今回,二分脊椎術後後遺症による左足変形のために難治性潰瘍を認めた症例に対し,当院創傷ケアセンターで潰瘍再発予防目的に予防的手術を施行し,理学療法を行う機会を得たので報告する。
【症例提示】13歳男性。12歳で左下肢神経麻痺から足内反変形が進行し,他院にて左足内反矯正術施行も,約6ヶ月後より左足底外側に難治性潰瘍を形成。当院紹介され,デブリードマン,抗生剤投与,装具による除圧では治癒せず,左足変形矯正手術目的で入院した。
【経過と考察】入院時歩行は,左股関節内旋,足関節内反による足部外側接地だった。入院当日より左下肢を完全免荷とし,理学療法介入開始。術前は筋力強化を中心に実施。入院17日目に左足三関節固定術を施行,術後6週間完全免荷を継続した。術後は術前の筋力強化に加え,骨癒合促進のための超音波療法,左足趾及び距腿関節可動域練習を実施。術後28日目で潰瘍は治癒し,松葉杖片足歩行にて退院。術後42日目に装具を用いて松葉杖使用下で1/3荷重から歩行練習を開始。術後56日目より2/3荷重歩行とした。術後77日目には骨癒合得られ,足部外側接地と股関節内旋の改善,全荷重歩行が可能となった。歩行開始から,現在まで潰瘍の再発はなく経過している。本症例の歩行は足部内反,股関節内旋位が遊脚後期から足底接地に認められた。術後の足部の静的アライメント修正後の歩容を想定し,股関節外旋筋の筋力強化を考えた。それにより,股関節内外旋筋の筋活動のバランスが均等になり,歩容が改善したと考えられる。そのため,潰瘍再発なく歩行可能となったと考えられる。難治性潰瘍に対するに予防的手術に関する理学療法介入の報告は少ない。本症例のような予防的手術に対する理学療法介入の知見を蓄積していく必要がある。