[P3-B-1083] 健常高齢者を対象とした体力測定結果に基づく運動指導
開始時の評価結果に着目して
Keywords:健常高齢者, 身体機能, 虚弱予防
【目的】介護予防の視点として,心身機能が健康な段階に身体機能のウィークポイントを自覚させて復元させることの重要性である。今回,健常高齢者を対象に体力測定を実施しその結果を個別にフィードバックを行い,月1回の看護師による運動指導での非監視型の運動療法を実施する。そして,1年毎に体力測定を行いその効果を検証するプログラムを計画した。今回は,運動指導プログラム開始時における身体機能の特徴を分析し,運動療法実施に向けての方向性を検討することを研究目的とした。
【方法】平成25年7月時点に,兵庫県看護協会北阪神支部町の保健室南花屋敷の風に参加している高齢者22名(全員女性,年齢77.2±8.5歳,身長149.7±5.4cm,体重50.7±7.6kg)を対象とした。全員日常生活動作が自立しており,介護認定は受けていなかった。方法は対象者に対し身体機能評価として,身体計測:身体計測として,BMI(body mass index),筋力:上肢筋力左右握力および下肢筋力として30秒椅子立ち上がりテスト,バランス能力:静的バランスとして開眼片足立ち時間および動的バランス能力としてファンクショナルリーチ(以下,FR:functional reach),柔軟性:長座位体前屈,歩行(呼吸循環機能):歩行として5m快適および最大歩行時間,パフォーマンステスト:台からの立ち上がりテストを測定した。手段的日常生活動作能力:老研式活動能力指標を調査した。すべての測定において,疲労,転倒などの影響を考慮するために,各項目間には十分な休憩を置いて実施した。結果の処理は基本統計として,平均値±標準偏差で表示し,先行文献などで示されている高齢者の標準値と比較した。さらに個々の結果についても解析した。
【倫理的配慮】本研究は宝塚医療大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には研究の目的と内容を口頭および書面で説明して同意を得た。
【結果】BMIの平均は22.6±3.1で,最小値は18.1,最大値は28.9であった。同様に握力は17.9±6.1kg(7~27.8kg),30秒椅子立ち上がりは15.1±4.4回(9~28回),開眼片足立ち時間は21.5±19.1秒(2,3~47.5秒),FRは29.3±8.1cm(10,2~45cm),長座位体前屈は27.4±9.7cm(9~53cm),5m快適歩行時間は4.7±1.9秒(3,3~12,4秒),5m最大歩行時間は3.4±1.1秒(2,4~7,1秒)で,1名は杖歩行であった。1名は両膝痛のために実施しなかった。台からの立ち上がりは14.3±8.1cm(10~40cm),手老研式活動能力指標は11.7±1.9点(7~13点)であった。
【考察】測定項目について対象者と同年代の標準値を比較すると,すべての項目で標準レベルであった。対象者は介護認定を受けておらず社会的に自律している高齢者である。生活に見合った身体機能レベルであることがわかる。対象者を個別に分析すると,すべての項目で標準値であった者は13名であった。9名は何らかの項目で標準値を下回っていた。測定項目別にみると,上肢筋力の指標とした握力は全員標準値であった。一般的に老化による筋力低下は,上肢よりも下肢の方が著明であるとされており,今回の結果はこの報告と一致する。標準値より下回った結果となった項目は,BMIでは22名中3名が肥満傾向,30秒椅子立ちりでは22名中4名が下肢筋力低下傾向,開眼片足立ち時間では22名中3名が静的バランス低下傾向,FRでは22名中2名が動的バランス能力低下傾向,長坐位体前屈では20名中1名が柔軟性低下傾向,5m歩行時間では21名中2名が低下傾向,台からの立ち上がりでは22名中2名がパフォーマンス低下傾向,老研式活動能力指標では22名中3名が手段的日常生活活動能力低下傾向であった。今回少数例であるが22名の身体機能測定を実施したが,結果に問題がなかった者は22名13名で,59.1%に留まっていた。この結果は,未だ介護認定を受けていない高齢者の中にも,身体機能が低下しており,何らかの早期対応が必要である者が存在することを意味していると考えられる。これらの対象者を,運動指導あるいは介護保険サービスにつなげ,介護状態への移行を防止することが重要である。今後は運動指導プログラムを実施して,効果判定をしていく方向である。また,この研究の限界として症例が少ないことと,心理面や精神面および栄養状態などの評価がなされていないことである。
【理学療法学研究としての意義】理学療法学士が積極的かつ独自に,地域で介護予防に関わることは重要なことである。
【方法】平成25年7月時点に,兵庫県看護協会北阪神支部町の保健室南花屋敷の風に参加している高齢者22名(全員女性,年齢77.2±8.5歳,身長149.7±5.4cm,体重50.7±7.6kg)を対象とした。全員日常生活動作が自立しており,介護認定は受けていなかった。方法は対象者に対し身体機能評価として,身体計測:身体計測として,BMI(body mass index),筋力:上肢筋力左右握力および下肢筋力として30秒椅子立ち上がりテスト,バランス能力:静的バランスとして開眼片足立ち時間および動的バランス能力としてファンクショナルリーチ(以下,FR:functional reach),柔軟性:長座位体前屈,歩行(呼吸循環機能):歩行として5m快適および最大歩行時間,パフォーマンステスト:台からの立ち上がりテストを測定した。手段的日常生活動作能力:老研式活動能力指標を調査した。すべての測定において,疲労,転倒などの影響を考慮するために,各項目間には十分な休憩を置いて実施した。結果の処理は基本統計として,平均値±標準偏差で表示し,先行文献などで示されている高齢者の標準値と比較した。さらに個々の結果についても解析した。
【倫理的配慮】本研究は宝塚医療大学研究倫理委員会の承認を得て実施した。対象者には研究の目的と内容を口頭および書面で説明して同意を得た。
【結果】BMIの平均は22.6±3.1で,最小値は18.1,最大値は28.9であった。同様に握力は17.9±6.1kg(7~27.8kg),30秒椅子立ち上がりは15.1±4.4回(9~28回),開眼片足立ち時間は21.5±19.1秒(2,3~47.5秒),FRは29.3±8.1cm(10,2~45cm),長座位体前屈は27.4±9.7cm(9~53cm),5m快適歩行時間は4.7±1.9秒(3,3~12,4秒),5m最大歩行時間は3.4±1.1秒(2,4~7,1秒)で,1名は杖歩行であった。1名は両膝痛のために実施しなかった。台からの立ち上がりは14.3±8.1cm(10~40cm),手老研式活動能力指標は11.7±1.9点(7~13点)であった。
【考察】測定項目について対象者と同年代の標準値を比較すると,すべての項目で標準レベルであった。対象者は介護認定を受けておらず社会的に自律している高齢者である。生活に見合った身体機能レベルであることがわかる。対象者を個別に分析すると,すべての項目で標準値であった者は13名であった。9名は何らかの項目で標準値を下回っていた。測定項目別にみると,上肢筋力の指標とした握力は全員標準値であった。一般的に老化による筋力低下は,上肢よりも下肢の方が著明であるとされており,今回の結果はこの報告と一致する。標準値より下回った結果となった項目は,BMIでは22名中3名が肥満傾向,30秒椅子立ちりでは22名中4名が下肢筋力低下傾向,開眼片足立ち時間では22名中3名が静的バランス低下傾向,FRでは22名中2名が動的バランス能力低下傾向,長坐位体前屈では20名中1名が柔軟性低下傾向,5m歩行時間では21名中2名が低下傾向,台からの立ち上がりでは22名中2名がパフォーマンス低下傾向,老研式活動能力指標では22名中3名が手段的日常生活活動能力低下傾向であった。今回少数例であるが22名の身体機能測定を実施したが,結果に問題がなかった者は22名13名で,59.1%に留まっていた。この結果は,未だ介護認定を受けていない高齢者の中にも,身体機能が低下しており,何らかの早期対応が必要である者が存在することを意味していると考えられる。これらの対象者を,運動指導あるいは介護保険サービスにつなげ,介護状態への移行を防止することが重要である。今後は運動指導プログラムを実施して,効果判定をしていく方向である。また,この研究の限界として症例が少ないことと,心理面や精神面および栄養状態などの評価がなされていないことである。
【理学療法学研究としての意義】理学療法学士が積極的かつ独自に,地域で介護予防に関わることは重要なことである。