第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター16

運動器/足関節・足部

Sun. Jun 7, 2015 1:10 PM - 2:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-C-0849] シャルコー足による難治性潰瘍に対し予防的手術を行った1症例

飛田昌寛1 (1.横浜総合病院リハビリテーション科, 2.横浜総合病院整形外科, 3.横浜総合病院心臓血管外科)

Keywords:予防的手術, 難治性潰瘍, 糖尿病足病変

【目的】
潰瘍に対して構造的要因の治療を目的とした予防的手術は,本邦での報告は少ない。今回,糖尿病性のシャルコー足による難治性潰瘍に対して,再発予防を目的とした関節固定術を施行した患者様について報告する。
【症例提示】
50歳代男性。既往に糖尿病,腰椎椎間板ヘルニアあり。1983年,4Fより飛び降り,L3,4脊椎骨折,両側足根骨開放骨折,左踵骨骨折,右下腿骨粉砕骨折にて,右下腿切断。半年後に左下腿骨骨折に対し,骨接合術施行。1989年より左足底外側に難治性潰瘍を認め,入院治療を繰り返すも治癒せず,2014年に当院紹介。左足舟底変形・足趾変形による難治性潰瘍に対して,外来にてフェルトでの除圧で経過をみたが治癒せず,入院となる。
【経過と考察】
入院前の歩行は,PTB免荷装具と両側ロフストランド杖を使用,股関節外転・外旋位のwide baseが認められ,それが股関節内旋制限を誘発し,外側荷重優位となっていると考えられた。
完全免荷と局所陰圧療法により創は治癒した。再発予防のために左足関節固定術を施行し,後足部内反位を矯正した。術後6週間のシーネ固定期間中は内旋筋筋力低下に対し,股関節を中心とした理学療法を継続,股関節内旋筋はMMT2から3へ向上した。また,右下腿義足の不適合により左荷重優位が潰瘍の形成とリスクと考え,義足の長さを調整し術後7週目に短下肢装具着用下での免荷歩行,術後9週目に全荷重歩行となった。Wide baseの改善と荷重量の適正化が図られ,4日後退院。退院後に復職し,創の再発はなし。
本症例では,免荷期間中にOKCでは側臥位での股関節外転運動,CKCでは四つ這いでの股関節伸展・外転運動を実施し,wide baseの改善が認められ,外側荷重の軽減が図られたと考えられる。
難治性足潰瘍に対する予防的手術を実施する患者には,創位置を考慮した理学療法を実施することで,創の再発なく歩行が獲得できた。