第50回日本理学療法学術大会

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ポスター

症例研究 ポスター17

運動器/脊椎

Sun. Jun 7, 2015 1:10 PM - 2:10 PM ポスター会場 (展示ホール)

[P3-C-0859] 腰椎可動性向上によって股関節前面痛の改善が見られた一症例

松島知生, 西亮介, 野中理絵, 野中一誠, 吉田亮太, 西恒亮 (医療法人龍邦会東前橋整形外科リハビリテーションセンター)

Keywords:徒手療法, 脱神経性神経病性疼痛, 股関節痛

【目的】
今回,腰椎部由来の脱神経性神経病性疼痛が疑われる症例を経験し,良好な結果が得られた。脱神経性神経病性疼痛に対する徒手的理学療法の有用性を示す上で意義のあるものと考え,以下に報告する。
【症例提示】
対象は69歳男性。診断名は頚椎症性脊髄症,第5腰椎分離辷り症。主訴は疼痛によりしっかり歩けない,歩行中に足底感覚が無くなる。現病歴は,3か月前歩行中に右股関節前面痛が出現。発症後3か月間,疼痛に変化が見られなかったため理学療法開始。評価結果から,股関節に機能的制限や疼痛は再現されなかった。腰椎部の検査から右回旋で股関節痛が再現されたため,椎間孔狭窄による脱神経性神経病性疼痛を疑い,脊椎及び神経学的検査を行った。脊椎可動性検査では腰椎後方前方滑りで第4腰椎可動性低下。体幹右回旋自動運動検査にて右股関節の再現痛を確認した所,第4腰椎棘突起右側から右回旋方向に誘導した際に疼痛は再現されなかった。神経学的検査では,右前脛骨筋,右長母指屈筋に軽度筋力低下,右膝蓋腱反射低下を認めた。第4腰椎可動性低下,L4レベルの神経陰性徴候が確認されたため,理学療法は立位にて第4腰椎へ右回旋SNAGs,側臥位にて第5腰椎に対して第4腰椎を右回旋させる徒手療法を行った。
【経過と考察】
介入後,即時的に体幹右回旋と歩行時の右股関節痛消失し,足底感覚にも改善がみられた。理学療法は計4回で終了した。本症例のように,脱神経性神経病性疼痛が疑われる股関節痛に対して,腰椎の評価や神経学的検査を行う必要があると考える。本症例はL4障害が疑われ,第4腰椎の可動性を向上させることで,神経根圧迫が改善され,歩行中の右股関節前面痛改善に繋がったと考えた。佐々木は,脱神経性神経病性疼痛から生じる股関節痛に対してL4神経根圧迫の解放により,症状改善が見られたと報告している。このことから脱神経性神経病性疼痛に対し徒手的理学療法が有用であると考える。