[P3-C-1109] 糖尿病運動療法の指導による身体活動の変化
Keywords:教育入院, 運動療法, 行動変容ステージ分類
【はじめに,目的】
糖尿病の治療として薬物療法や食事療法とともに運動療法は重要である。行動変容ステージ分類は,ステージごとに指導方法を変えて支援する上でたいへん有用である。厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」では身体活動を運動と生活活動に分けており,当院では運動の指導だけでなく,生活指導に重点を置いた個別指導を行っている。
本報告の目的は,糖尿病教育入院患者を対象に運動療法の指導による行動変容ステージ分類による身体活動の継続率の変化を調査し,継続した指導の必要性について検討した。
【方法】
2010年1月から12月までの教育入院にて運動療法を実施した61名のうち,アンケートの回収を行えた58名(男性30名・女性28名,平均年齢58.2±11歳)を対象とした。当院では糖尿病教育入院患者に対して運動の実技指導だけなく生活活動に重点を置いた指導を行っている。指導内容は入院前の一日の生活や行動変容ステージ分類,運動習慣の情報収集を行い,生活指導を実施している。その後準備体操,軽度レジスタンス運動,有酸素運動の実技指導を行っている。調査方法はアンケート調査とし,調査期間は指導前と退院3ヶ月後,6ヶ月後に行った。今回,運動療法に対する行動変容ステージ分類を無関心群,関心準備群,実行維持群に分けた3群の経時的な変化と生活活動の継続率について比較検討した。
【結果】
行動変容ステージ分類による内訳は指導前が無関心群23名(40%),関心・準備群28名(48%),実行・維持群7名(12%),退院3ヶ月後が無関心群3名(5%),関心・準備群16名(28%),実行・維持群39名(67%),退院6ヶ月後が無関心群10名(17%),関心・準備群12名(21%),実行・維持群36名(62%)であった。
生活活動実施者は指導前が16名(28%),退院3ヶ月後36名(62%),退院6ヶ月後38名(66%)であった。
運動の重要性は指導前では「とても重要である」47名(81%),「すこし重要である」10名(17%),「あまり重要でない」1名(2%),「重要でない」0名(0%)となり,退院3ヶ月後は「とても重要である」40名(69%),「すこし重要である」18名(31%),「あまり重要でない」0名(0%),「重要でない」0名(0%)となり,退院6ヶ月後では「とても重要である」44名(76%),「すこし重要である」13名(22%),「あまり重要でない」1名(2%),「重要でない」0名(0%)となった。
糖尿病合併症に対する不安については,指導前では「とても不安がある」34名(59%),「すこし不安である」21名(36%),「あまり不安がない」3名(5%),「不安がない」0名(0%)となり,退院3ヶ月後では「とても不安がある」19名(33%),「すこし不安である」33名(57%),「あまり不安がない」4名(7%),「不安がない」2名(3%)となり,退院6ヶ月後では「とても不安がある」25名(43%),「すこし不安である」25名(43%),「あまり不安がない」7名(12%),「不安がない」1名(2%)となった。
運動療法に対する関心では,退院3ヶ月後は「もっと知りたい」18名(31%),「少し知りたい」18名(31%),「あまり知りたくない」12名(21%),「知りたくない」6名(10%),無回答4名(7%)となった。退院6ヶ月後は「もっと知りたい」10名(17%),「少し知りたい」24名(41%),「あまり知りたくない」13名(22%),「知りたくない」7名(12%),無回答4名(7%)となった。
【考察】
糖尿病教育入院患者の退院3ヶ月後は運動,生活活動ともに60%以上の実施率となった。しかし退院6ヶ月経過すると運動の実施率は減少し,行動変容ステージは無関心期が大きく増加した。生活活動の実施率は退院6ヶ月後も維持できていた。そのため運動療法への関心を高め,運動の継続を促すには,3ヶ月以降に再指導を行うことが必要と考えられる。
【理学療法学研究としての意義】
生活活動の指導効果は6ヶ月間の継続がみられたが,運動は経過とともに実施率や関心が低下するため,継続した指導が必要になると考えられる。
糖尿病の治療として薬物療法や食事療法とともに運動療法は重要である。行動変容ステージ分類は,ステージごとに指導方法を変えて支援する上でたいへん有用である。厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」では身体活動を運動と生活活動に分けており,当院では運動の指導だけでなく,生活指導に重点を置いた個別指導を行っている。
本報告の目的は,糖尿病教育入院患者を対象に運動療法の指導による行動変容ステージ分類による身体活動の継続率の変化を調査し,継続した指導の必要性について検討した。
【方法】
2010年1月から12月までの教育入院にて運動療法を実施した61名のうち,アンケートの回収を行えた58名(男性30名・女性28名,平均年齢58.2±11歳)を対象とした。当院では糖尿病教育入院患者に対して運動の実技指導だけなく生活活動に重点を置いた指導を行っている。指導内容は入院前の一日の生活や行動変容ステージ分類,運動習慣の情報収集を行い,生活指導を実施している。その後準備体操,軽度レジスタンス運動,有酸素運動の実技指導を行っている。調査方法はアンケート調査とし,調査期間は指導前と退院3ヶ月後,6ヶ月後に行った。今回,運動療法に対する行動変容ステージ分類を無関心群,関心準備群,実行維持群に分けた3群の経時的な変化と生活活動の継続率について比較検討した。
【結果】
行動変容ステージ分類による内訳は指導前が無関心群23名(40%),関心・準備群28名(48%),実行・維持群7名(12%),退院3ヶ月後が無関心群3名(5%),関心・準備群16名(28%),実行・維持群39名(67%),退院6ヶ月後が無関心群10名(17%),関心・準備群12名(21%),実行・維持群36名(62%)であった。
生活活動実施者は指導前が16名(28%),退院3ヶ月後36名(62%),退院6ヶ月後38名(66%)であった。
運動の重要性は指導前では「とても重要である」47名(81%),「すこし重要である」10名(17%),「あまり重要でない」1名(2%),「重要でない」0名(0%)となり,退院3ヶ月後は「とても重要である」40名(69%),「すこし重要である」18名(31%),「あまり重要でない」0名(0%),「重要でない」0名(0%)となり,退院6ヶ月後では「とても重要である」44名(76%),「すこし重要である」13名(22%),「あまり重要でない」1名(2%),「重要でない」0名(0%)となった。
糖尿病合併症に対する不安については,指導前では「とても不安がある」34名(59%),「すこし不安である」21名(36%),「あまり不安がない」3名(5%),「不安がない」0名(0%)となり,退院3ヶ月後では「とても不安がある」19名(33%),「すこし不安である」33名(57%),「あまり不安がない」4名(7%),「不安がない」2名(3%)となり,退院6ヶ月後では「とても不安がある」25名(43%),「すこし不安である」25名(43%),「あまり不安がない」7名(12%),「不安がない」1名(2%)となった。
運動療法に対する関心では,退院3ヶ月後は「もっと知りたい」18名(31%),「少し知りたい」18名(31%),「あまり知りたくない」12名(21%),「知りたくない」6名(10%),無回答4名(7%)となった。退院6ヶ月後は「もっと知りたい」10名(17%),「少し知りたい」24名(41%),「あまり知りたくない」13名(22%),「知りたくない」7名(12%),無回答4名(7%)となった。
【考察】
糖尿病教育入院患者の退院3ヶ月後は運動,生活活動ともに60%以上の実施率となった。しかし退院6ヶ月経過すると運動の実施率は減少し,行動変容ステージは無関心期が大きく増加した。生活活動の実施率は退院6ヶ月後も維持できていた。そのため運動療法への関心を高め,運動の継続を促すには,3ヶ月以降に再指導を行うことが必要と考えられる。
【理学療法学研究としての意義】
生活活動の指導効果は6ヶ月間の継続がみられたが,運動は経過とともに実施率や関心が低下するため,継続した指導が必要になると考えられる。