第50回日本理学療法学術大会

講演情報

分科学会 シンポジウム

日本支援工学理学療法学会 分科学会 シンポジウム1

理学療法におけるロボット活用の可能性

2015年6月5日(金) 11:20 〜 13:10 第2会場 (ホールC)

座長:大峯三郎(九州栄養福祉大学 リハビリテーション学部), 田中恩(昭和病院 リハビリテーション部)

[S-01-1] ロボット支援療法の無作為化比較試験:ReoGoとGAR

蜂須賀研二 (門司メディカルセンター)

高齢化社会を迎え,減少する労働力と増加するリハや介護のニーズを補完する方法として,ロボットの活用がある。リハ医療福祉で使用するロボットは,1)自立支援ロボット,2)介護支援ロボット,3)訓練支援ロボット,4)就労支援ロボット,5)その他,に便宜上分類できる。この報告では,上肢および下肢の訓練支援ロボットを紹介し,我々が実施した無作為化比較試験の結果を報告する。
上肢訓練支援ロボットには,アームの先端に手指を固定するかグリップを握らせ上肢を動かす手先効果器型と,上肢全体あるいは一部を外から保持し動きを支援する外骨格型がある。手先効果器型は構造が簡単で装置の適合も容易であり装着も簡単である。MIT-MANUSは1990年代から研究開発がなされ報告も多く,Interactive Motion Technologiesが市販されている。鏡像運動が特徴のMIME,Bi-Manu-Track,3次元運動が可能なNeReBot,一本のスティックにより3次元運動を可能とするReoGoなどがあり,外骨格型にはT-WREX,ARMin,Armeo Powerなどがある。下肢訓練支援ロボットには,足先効果器型としてGait Trainer,外骨格型にはDriven-gait orthosis,LOPES Exoskeleton Robot,HAL,Wearable Power-Assisted Locomotor(WPAL),ロボット・アーム制御型に歩行支援ロボット(GAR)が報告されている。
我々はReoGo(上肢)とGAR(下肢)の無作為割付比較試験を実施し,症例や条件を適切に設定すると,ロボット支援訓練は通常訓練よりも有意な改善を認めた。ロボットは条件を設定して療法士の道具として活用することが勧められるが,装置が過度に高機能になれば設定や操作が煩雑となり費用対効果も低下する。