第50回日本理学療法学術大会

講演情報

分科学会 シンポジウム

日本スポーツ理学療法学会 分科学会 シンポジウム3

スポーツと理学療法―これまでのあゆみと新たなる可能性への挑戦―

2015年6月5日(金) 16:00 〜 17:50 第1会場 (ホールA)

座長:坂本雅昭(群馬大学大学院 保健学研究科), 片寄正樹(札幌医科大学 保健医療学部理学療法学第二講座)

[S-03-1] 我が国におけるスポーツ理学療法の現状と課題

小林寛和 (日本福祉大学健康科学部リハビリテーション学科理学療法学専攻)

スポーツの変化に伴い,理学療法士のスポーツへの関わりは年々増しつつある。競技スポーツの高度化や障がい者スポーツ,地域スポーツ,生涯スポーツ等々,実施目的と対象者層の多様化が著しい中,様々な背景(実施目的,活動レベル,年齢層など)の対象者から,スポーツ復帰・再開,外傷・疾病予防,競技パフォーマンス向上,等への対応が我々に求められている。その実践は,医療の場に限らずスポーツ活動の場にも拡がりをみせている。
我が国では,特に2000年以降,国際的競技力の向上に加えて,国民が目的に応じたスポーツ活動を実践できるための施策がなされてきた。環境やシステムについては,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会,2019年ラグビーワールドカップ等を目途に整備が急がれている。2011年に施行されたスポーツ基本法では,スポーツに関する施策は国の責務であることが明記され,国民のスポーツ機会の確保,競技水準の向上,また科学的研究の推進についても言及されている。この明確な指針に基づき,スポーツに関する状況は加速的に変化していくものと思われる。
今後,スポーツを取り巻く状況にあわせて,理学療法士に求められる役割と任務は高度化,多様化していくであろう。我々が提供する内容の充実に向けて,知識や技能の基盤とすべき事項を整理していくこと,その根拠を明確にしていくこと,そして他職種との協働を強化していくことが必須である。また国内のみにとどまらず,国際的な活動も急務となる。
本シンポジウムでは「これから」のスポーツ理学療法の可能性について考えてみたい。また,その実現に向けた現状の課題について検討する機会としたい。