第50回日本理学療法学術大会

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分科学会 シンポジウム

日本理学療法教育学会 分科学会 シンポジウム4

理学療法教育の新たなる挑戦―Outcome Based Education.

Fri. Jun 5, 2015 6:10 PM - 8:00 PM 第2会場 (ホールC)

座長:日高正巳(兵庫医療大学 リハビリテーション学部理学療法学科)

[S-04-4] 卒前教育における物理療法学の教育到達目標と教育内容の提言

川村博文 (甲南女子大学看護リハビリテーション学部理学療法学科)

卒前の物理療法学教育では,臨床において物理療法と運動療法,義肢装具療法,日常生活活動指導等を適宜,組合せることによる複合効果に基づく総合的な理学療法の臨床効果が増し,患者の社会復帰・社会参加に有効であることに関して学生の理解を深めることに力点を置くことが重要となる。一方,内田ら(日本物理療法学会誌2010)は,物理療法を実施しない理由には,効果が不確実,保険点数の加算がない,適応がない,機器が高価,操作が煩雑などの貴重な臨床現場からの調査結果を報告している。この点を踏まえて臨床現場の現実と将来展望に基づいた卒前教育を実践することが不可欠である。さらに,卒前教育において卒後教育に繋がる物理療法の成功体験・達成感体験などをどのように学内教育,臨床実習教育に組み込んでいくかが物理療法学の学習に関する動機づけを高める上での鍵を握ることとなる。また,臨床マインドを育成しつつ学術的側面の教育を果たすためには学内教育と臨床実習教育が密接な連携を図ることが重要である。学内での物理療法学実習では,技術の熟練は言うに及ばす生体反応実験を実施することが患者理解の足掛かりとなる。物理療法に関する生体反応実験を実施することは,患者を理解するためには不可欠であることを明確にでき,物理療法効果の有無判断困難を打開する研究データの不足を補うデータの集積態度が身に付くものと考えている。患者の期待・信頼に応えうる根拠に基づく思考過程と自己研鑽に基づく情報収集・情報判断能力,目的及び目標に沿う専門技術・技能を高めるための能動的学習姿勢,信念を持ち誠実・積極的に多くの時間と努力を惜しまないひたむきさが自己の成長・成熟に,さらには社会貢献に結びついていくものと考えられる。そこで,本シンポジウムでは,卒前教育における物理療法を実践できうる人材を育成するための教育到達目標とその教育内容を提言することとする。