第50回日本理学療法学術大会

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メインシンポジウム

メインシンポジウム1

理学療法50年のあゆみと展望―新たなる可能性への挑戦―わが国の理学療法の歴史と継承

2015年6月6日(土) 10:15 〜 12:05 第1会場 (ホールA)

座長:伊東元(茨城県立医療大学名誉教授), 高橋正明(群馬パース大学 保健科学部理学療法学科)

[SS-02-3] 理学療法50年の歩みと展望~新たなる可能性への挑戦~

渡辺京子1,2,3 (1.元亀田メディカルセンター継続学習センター, 2.千葉県立保健医療大学理学療法管理学, 3.山形県立保健医療大学理学療法管理運営論)

日本理学療法士協会設立50周年おめでとうございます。今回のテーマは非常に大きく,すでに第一線を退いた私が何を語ればよいのか悩ましいところです。上田敏著書:リハビリテーションの歩み(医学書院)に詳細に書かれていますので,私は清瀬の1期生として歩み始めた頃のおぼろげな記憶を辿り,さらにこの過ぎし50年間に感じたことなど皆様にお伝え出来ればと思います。
昭和38年(1963年)3月1日,高校卒業の日,偶然出会った方から,新設学校の受験を勧められました。初めて耳にした‘リハビリテーション’という響きは意味不明ながらも,未知の世界が待ち受けているような,胸のときめきを感じたことを覚えています。3月15-16日,筆記試験と通訳付き面接を受け生まれて初めて聞いた外国人の生の英語,いつか自由に話せる日が来るかもしれない,内向きから外向きへ向かおうとする自分を予感しました。
3月25日付合格通知,4月10日付入学式案内,開校式兼入学式は5月1日と遅い波乱の幕開けとなりました。専門科目はガリ版刷りの英語のプリントを渡され頻繁に試験がありました。今日の世界のグローバル化や国際化など知る由もなく,ひたすら英和辞典を片手に外国人講師の授業についていくのが精一杯の毎日でした。
そして昭和41年(1966年)卒業。当時,50年後のことなど全く予想出来ませんでした。以降,時代と共に社会も人々の価値観も変容しました。我々の学生時代には無かったコピー機,パソコン,携帯,ネット検索など自由に駆使できるIT時代になり教育ツールが格段に向上しました。
臨床の現場ではスタッフが増えるにつれ必然的に部門の管理運営,職員教育,医療環境の変化や,患者の権利意識の高まりなどにより医療の質が求められるようになり,これらに対応するノウハウを手探りで経験することになりました。協会の歩みと共に私も理学療法士として成長できました,この50年を振り返りながら次の50年への提言が出来ればと思います。