第50回日本理学療法学術大会

講演情報

合同シンポジウム

日本整形外科学会 合同シンポジウム1

超高齢社会における健康長寿の実現と運動器対策

2015年6月5日(金) 13:50 〜 15:40 第1会場 (ホールA)

座長:村永信吾(亀田総合病院 リハビリテーション事業管理部), 中村耕三(日本整形外科学会前理事長/国立障害者リハビリテーションセンター)

[TS-03-2] 健康長寿社会の実現に向けた運動器対策の提言と理学療法士への期待

岩本幸英 (日本整形外科学会理事長/九州大学大学院医学研究院整形外科)

わが国の急速な高齢化に伴い,骨粗鬆症,変形性関節症,脊柱管狭窄症などの運動器疾患が急増し,要介護・要支援の主要な原因となっている。従って,今後,健康長寿社会を実現するためには,運動器疾患対策の推進が不可欠である。日本整形外科学会は,2007年に「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」という疾患概念を提唱した。ロコモの定義は,「運動器の障害により,移動機能の低下をきたした状態」であり,進行すれば要介護のリスクが高くなる。発表以来,ロコモは大きな注目を集め,2013年度から始まった国民の健康づくり運動「健康日本21(第2次)」において,ロコモの認知度を,10年後に80%以上まで上昇させるという数値目標が設定された。ロコモの原因は,加齢による筋力低下,バランス能力の低下および運動器疾患の3つである。これらの原因に対処し,今後全国にロコモ対策を広げていくためには,理学療法士と整形外科医の緊密な連携が必要である。また,運動器疾患対策は,国の大目標である「健康寿命の延伸」に直結する課題なので,今後,運動器疾患を医療計画の対象疾患に加えていただきたいと思っている。今後更に進む高齢化のなかで,運動器疾患の重要性はますます増大する。将来に向けて,理学療法士と整形外科医の連携のさらなる強化が望まれる。