第50回日本理学療法学術大会

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合同シンポジウム

日本整形外科学会 合同シンポジウム1

超高齢社会における健康長寿の実現と運動器対策

Fri. Jun 5, 2015 1:50 PM - 3:40 PM 第1会場 (ホールA)

座長:村永信吾(亀田総合病院 リハビリテーション事業管理部), 中村耕三(日本整形外科学会前理事長/国立障害者リハビリテーションセンター)

[TS-03-5] 学校・地域における運動器対策と理学療法士の取り組み

大工谷新一 (株式会社リビングケア)

理学療法士は診療の補助である理学療法を業とする者であるが,厚生労働省医政局医事課長通知(医政医発1127第3号)により予防等の理学療法に範囲の業務を行う際にも理学療法士という名称を用いることに問題がないとされている。
運動器疾患の予防には子どもから高齢者を通じた様々な年代と性別に配慮した対応が求められ,そのフィールドは学校,企業,地域と多岐にわたる。学校においては,児童・生徒と教職員に対する介入が必要であり,特に,児童・生徒に対しては学校医や養護教諭と連携した運動器機能のチェックと健康教育が重要である。また,地域においては,特に高齢者における運動器機能や生活機能の低下を予防するために,生活に密着したなかでの介入が重要となる。
筆者が前会長を務めていた公益社団法人大阪府理学療法士会では,市立中学校の養護教諭と体育教諭と連携しながら,生徒の運動器機能チェックや生徒および養護教諭への健康教育(講義)を試行的におこないはじめたところである。運動器機能チェックでは1学年の約13%の生徒において,今後何らかの継続的な観察を要する所見が得られた。また,生徒と養護教諭に対しては,要望をもとに健康や姿勢,特発性脊椎側弯症についての講義をおこなった。
また,筆者の所属する株式会社リビングケアでは,高齢者に対して低価格で住居を提供し,訪問看護・介護,診療所との連携のもとに高齢者の生活機能の維持と向上を目的に,種々の事業を展開している。高齢者の生活機能の維持と向上には,運動器対策を始めとした個人要因としての筋力や柔軟性,神経調整力への介入と,外的要因としての介護スタッフの教育や施設・設備の整備が重要となる。その双方において,理学療法士の視点を活用した個別ケアを実践している。
今回のシンポジウムでは,大阪府理学療法士会と株式会社リビングケアでの実例から,運動器対策における理学療法士のあるべき姿を提示したい。