第50回日本理学療法学術大会

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大会シンポジウム

大会シンポジウム5

卒後教育・管理の現状と展望

Sat. Jun 6, 2015 10:15 AM - 12:05 PM 第6会場 (ホールD7)

座長:森本榮(輝生会)

[TS-09-2] 拡大する理学療法部門における卒後教育の実際と課題

ジョブ・ローテーションとOJTによる教育システム

青木啓成 (相澤病院リハセラピスト部門)

国が進める,医療・介護提供体制改革と医療の機能分化を背景に,我々理学療法士の職域は医療,介護,予防領域へ広がりと専門分化をもたらし,社会の変化と医療の進歩に対応できる,専門性と多様性が求められている。そして,現場が求める人材も,量的充足から質的評価へシフトしている。当然臨床でも組織マネジメントにおいても,卒後教育は重要課題のひとつである。さらに少子高齢社会に理学療法士のスケールメリットを活かすためにも,質の高い理学療法士を育成する仕組み作りは,喫緊の課題といえる。そこで,本シンポジウムでは,理学療法士の組織マネジメントと,卒後教育に関する下記5点を提言し,意見交換したい。
1.病院や介護施設などの非営利組織は資本より人間を結合体とする組織であり,組織に与えられた使命や目的を達成し,組織としての成果を上げるための組織マネジメントに,人材育成と職能開発は不可欠である。
2.どのようなツールやシステムで教育するか(スタッフ教育の仕組みや方法)を検討する前に,組織のミッションを達成するためにはどのような理学療法士を育成する必要があるかを踏まえた,教育の理念(教育の目的)が必要となる。
3.組織の教育理念と個々の理学療法士が描くキャリア・ビジョンを達成するため,ジョブ・ローテーションやOJT(On-the-Job Training)の仕組みを検討する。
4.教育用ツール(業務基準書,職能要件書,キャリア・デザインシート,OJTシートなど)とシステムを整備し,CAPDサイクルや目標管理制度に従い計画的かつ継続的に取り組む。
5.日本理学療法士協会が推進する新人教育プログラムや,認定理学療法士,専門理学療法士制度も積極的に活用することで,高い専門性を有するスペシャリストから,幅広い領域で一定水準上の知識とスキルを有するジェネラリストを育成し,自立(自律)した理学療法士と臨床における教育者の育成に積極的に取り組む必要があると考えている。