第50回日本理学療法学術大会

講演情報

合同シンポジウム

日本静脈経腸栄養学会 合同シンポジウム5

チーム医療としての栄養管理

2015年6月6日(土) 12:30 〜 14:20 第4会場 (ホールB7(2))

座長:吉田剛(高崎健康福祉大学 保健医療学部理学療法学科)

[TS-10-2] チーム医療としての栄養療法~看護師の立場から~

野田さおり1, 稲木美香1, 石川淳2, 河野光仁3 (1.KKR高松病院看護部, 2.KKR高松病院リハビリテーション科, 3.KKR高松病院栄養科)

チーム医療を提供するうえで,理学療法士のチーム参画は極めて重要である。2001年1月に栄養サポートチーム(NST)を立ち上げた当院では,医師・看護師・管理栄養士・薬剤師などの主要メンバーに加え,理学療法士も中心メンバーとして継続して参加している。患者の生活を支え,ADLの向上を目指すためには,栄養サポートとリハビリテーションの連携は必須である。当院では日本静脈経腸栄養学会が認定するNST専門療法士を理学療法士も取得し,より専門的な知識を持って理学療法士からの視点で栄養療法に携わっている。また,PTが嚥下治療に関しても積極的に関わり,NST下部組織である嚥下チームでも多職種で活動している。
NSTにおいて,看護師は栄養不良患者の抽出と栄養障害の評価,NSTで検討された栄養療法を自部署で推進する。看護師は時には代弁者として患者に寄り添い,患者のためのチーム医療が提供できる様に,橋渡しとしての役割が求められている。チーム医療を提供する上で重要な役割と言える。教科書通りの栄養療法だけを推奨するのではなく,患者の背景や嗜好,今後の治療方針や家族の希望などの情報を看護師が聴取することで,より患者に則した具体的な栄養療法を提供することが可能となる。専門的な知識も必要であり,当院では6名の看護師がNST専門療法士を取得している。
NSTが活動を開始して14年が経過し,その活動内容も変革してきた。全国的にNSTを広めようとしていた立ち上げ当初とは違い,現在はNST活動の質が問われている。重要なのは,NSTをすることではなく,患者の為の栄養管理をどのようにNSTでするかということである。チームの為の活動ではなく,患者の為の栄養療法提供を目指した看護実践が要求されている。理学療法士も同様であり,運動療法を実施する上で基本的な栄養療法や時には専門性の高い栄養療法の提供が求められる。私が経験したように,多くの理学療法士にも,運動と栄養を連携したことによってQOL向上に繋がる症例を経験して欲しい。